日本人コーヒー生産者が語るコロンビア
コロンビアとオミクロン株 2021年コロナ関連ニュースを振り返る
厳しいロックダウンで幕を開けた2021年も残りわずかとなりました。
今年は去年と違って規制がまったく敷かれていないため、年末は通常通り家族団らんで楽しく過ごすことができそうです。
しかし新たな変異ウイルス、オミクロン株にはコロンビア政府も警戒をしているようで、約半年ぶりに入国を制限するなどの対策をとり始めており、完全にコロナウイルスから開放される日はまだ遠いのかもしれません。
さてこれが今年最後の投稿ということで、今回は2021年コロンビアのコロナウイルス事情について簡単に振り返ってみたいと思います。
1月 厳しいロックダウンの中迎えた新年
年末年始はコロンビアの多くの地域で外出が制限されました。私が住んでいる地域は12月31日午後8時から1月2日朝6時まで外出禁止令が出され、その前後の日にちもID番号の末番で買い物などが厳しく制限。狭いアパートの中に3日間も閉じ込められるのは嫌だからと、都市に住む人たちは広い庭がある田舎に住んでいる親戚の家に避難するために大移動。高齢化が進み医療機関も整っていない田舎に、感染率の高い都会から多くの人がウイルスを持ち込んでいるとして問題にもなりました。
2月 ワクチン接種開始
医療関係者と80歳以上の高齢者を対象にワクチンの接種を開始。
4月 税制改革に反対する大規模デモ
パンデミックで落ち込んだ経済を増税することで賄おうと政府が税制改正案を発表。収入が減ったり仕事を失った人がたくさんいる中での増税案に多くの国民が反発。外出規制など無視してたくさんの人が政府に抗議するために街に集まりました。このデモは長期間にわたって行われ、このあと大流行するミュー株感染拡大に大きく影響を及ぼしたと考えられています。
Masiva movilización en Cali, Colombia, por el 1° de mayo. Cuarto día de Paro Nacional.
-- Juan Manuel Karg (@jmkarg) May 1, 2021
Contra la reforma tributaria de Iván Duque, su modelo económico y la represión estatal. pic.twitter.com/qD0v8wUBCH
6月8日 規制全面解除を発表
1日の感染者数がうなぎ登りに増えている真っ只中の6月初旬、政府は今までの移動規制を全て解除することを発表し、更に海外からの入国者に対してもPCR検査の陰性証明書などは一切求めないことを発表。反対の声が大きいかと思いきや、今までの生活を取り戻せるということで国民から不満の声はほとんど聞かれませんでした。
6月24日 第3波ピーク、1日の死亡者数過去最高
この日689人というパンデミックが始まって以来最も多くの死者数を記録してしまいました。
2日後の26日には1日の新規感染者数が33.594人とこちらも過去最多を記録。政府支持者はデモ参加者に対してウイルスを拡散させたとして強く批判しました。
7月8月 感染者大幅減
6月24日のピークから感染者数は大激減。8月の終わりには3万人を超えていた新規感染者数はあっという間に2000人台まで落ち着きました。
規制も自粛もなく、パンデミック前とほぼ同じ生活をしていたのにも関わらずどんどん減少していく感染者数に、専門家も首を傾げていたことでしょう。
9月 ミュー株とデルタ株
コロンビアで発見された新種株ミュー株が日本で発見されたことで、日本のテレビ局からたくさんのインタビュー依頼が来ました。
その頃コロンビアでは感染者数も落ち着き街はリラックスモード。一方で、日本ではミュー株に対しての多くの人々が怯えて生活しており、その温度差にとても違和感と驚きを感じたこと覚えています。コロンビアではこの時期に既にデルタ株の感染が確認され始めており、第4波はデルタ株が中心になるだろうと健康省も明言していました。
10月 ブースター接種開始
10月1日より70歳以上を対象にワクチンの3回目の接種がスタート。第4波の感染はまだワクチン接種対象になってから間もない子供と、接種から時間が立ってしまった年配者が中心になるだろうということで、この時期の感染者数は1500人程度と少なかったにも関わらず政府はワクチン接種を強く呼びかけました。
11月 各地でワクチンパスポート導入
11月からレストラン、バー、映画館など公共スペースに入場するためにはワクチン接種カードを提示することが義務付けられました。これを受けて今まで接種を避けてきた人も一斉に接種会場に押し寄せ、ワクチンパスポートの導入は接種率アップに大きく貢献した形となりました。
しかし、このような規制は人権侵害だとしてパスポート提出を求めず入場を許可しているレストランやイベントも実際多くあるのが現実のようです。
12月 海外からの入国制限再開
健康省のフェルナンド・ルイス大臣は14日からコロンビアに入国する全ての18歳以上の人を対象にワクチン接種証明の提出を求めることを発表しました。1回のみの接種の人はPCR検査陰性証明を提出すれば入国することが可能。
しかし今まで自由に出入りできていたはずのコロンビアが突然規制を敷いたからか、既に100人以上が入国拒否をされてしまったようです。
#Colombia | Migración Colombia entregó reporte tras la primera semana de exigencia del carné de vacunación ⬇️ https://t.co/Ra1zEAaMJs
-- Noticias RCN (@NoticiasRCN) December 22, 2021
オミクロン株
12月20日、コロンビアで最初のオミクロン株の感染者が見つかりました。発見された3件のうち2件はアメリカから、1件はスペインからの旅行者だったようです。更に26日にはコロンビアからパナマに入国した旅行者からオミクロン株が検出されたことから、既にコロンビアにオミクロン株が充満し始めている可能性も否定できないでしょう。
先月まで1500人前後をうろうろしていた新規感染者数もここ数日3000人を超えてきており、10月末にくるだろうと言われてきた第4波がいよいよ近づいてきたのかもしれません。
こうして振り返ると今年もコロナウイルス関連ニュースで溢れる1年となりました。日本への一時帰国は今年も叶わず、来年に持ち越し・・・。日本への入国規制もどんどん厳しくなっているため、正直来年も帰国できるか雲行きが怪しいですが、こればかりは祈るしかありません。
さて、これにて今年最後の投稿を締め括りたいと思います。来年は今年よりも更に明るいコロンビアのニュースを届けられますように。皆様お身体にはお気をつけて、良き新年をお迎えください。
著者プロフィール
- 松尾彩香
コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住
Twitter: @maon_maon_maon