日本人コーヒー生産者が語るコロンビア
木を植えたら割引!?コロンビアの植林計画
昨年11月26日にコロンビア政府は2030年までに温室効果ガスの排出量を51%に削減することを宣言しました。
近年南米大陸ではアマゾン地域を中心とした森林伐採等の環境破壊が問題となっています。(参考:アマゾン破壊、12年間で最悪 1年間で秋田県相当消失)
ブラジルのボルソナロ大統領のようにアマゾン火災をデマだと言い張り、開発を優先させてしまうような大統領も残念ながら存在しますが、コロンビアのドゥケ大統領は環境問題に積極的に取り組む姿勢を見せています。
政府は2022年までにコロンビア国内に1億8千万本の木を植えることを目標として掲げており、私が住んでいるアンティオキア県は同年までに2500万の植林を行うことを目標としています。更にコロンビア政府は県に200億ペソの支援をすることを明らかにし、2500万の木のうちの1100万本は違法行為によって破壊された1万ヘクタールの土地に植えられる予定になっています。
元々自然が豊かなコロンビアでは環境問題に関心が高い人が多く、ニュースで植林活動の話題が取り上げられることも珍しくありません。
Con la siembra de 1000 árboles de acacia, guayacán rosado, chirlobirlo y suribio, en la Reserva Natural La Candela, en Titiribí #Antioquia, soldados de la #CuartaBrigada adelantaron una jornada ambiental en coordinación con diferentes entidades.
-- DANTE_EJC (@YoSoyDanteEJC) March 7, 2021
#CustodiosdelMedioAmbiente pic.twitter.com/1HE00GfQqC
少し前の話になりますが2018年にはある財団がうちの農園の敷地内に500本の木を植えに来たこともあります。更にコロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、去年は集落の小学校と共同で植林作業を行う予定もありました。
こういった植林活動はコロンビア各地で頻繁に行われており、コロンビア人の自然に対する想いを強く感じます。
国会議員のエルウィス・アリアス議員は環境保護のためにこんな提案をしたこともありました。
『植林活動を行った市民が利益を得られる制度を作ろう』
植林を行った人に様々な場面で割引を得られる様にすることで、一般市民を植林活動に巻き込むことが狙いで、パスポートや免許証など各種証明書発行で20%の割引が受けられる他、就職や進学などでも植林を行った人を優先させるなどのメリットがあります。
この提案には多くの政党が賛成しており、まだ実現には至っていませんがエルウィス・アリアス議員は環境保護を前進させる有効な手段だと語っています。
またコーヒー栽培においても植林活動が注目され始めています。
コーヒーは日がよく当たれば収穫量が増え生産スピードも上がるので、今までコロンビアの多くの農園が木を切り倒し山を切り開いて栽培を行っていました。しかし、近年気候変動により気温が上がり害虫や天災に悩まされる農家が増え、コーヒー産業でも植林活動に力を入れるようになって来たのです。
#Colombia: Alrededor de 6.000 caficultores le están apostando al #café climáticamente sostenible. https://t.co/r0Zd9sqY03 vía @Agronegocios_co pic.twitter.com/trMDgV4c9p
-- PDG Español (@pdgespanol) March 2, 2021
私たちのコーヒー農園も植林活動を積極的に行っています。日陰で育つコーヒーは生産量は減ってしまうもののゆっくり熟すことで甘味が増しおいしくなるんですよ。
私の身の回りにもエコツーリズムや農業と林業を掛け合わせた「アグロフォレストリー」を行っている仲間がたくさんいます。今後彼らのプロジェクトを紹介していきたいと思っているので、是非目を通していただければと思います。
著者プロフィール
- 松尾彩香
コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住
Twitter: @maon_maon_maon