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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

「コーヒーはコロンビア経済の肺」2020年のコーヒー産業振り返り

kokouu-iStock

12月1日から4日にかけて、コロンビアでは『第88回 コーヒー国内会議(88 Congreso Nacional de Cafeteros)』が開催されました。

この会議の中で、コロンビアコーヒー生産者連合会は今年のコーヒー生産状況についてレポートを発表し、政府は問題をあぶり出し解決策を定めます。さらに組織の業務遂行を改善させる策をとり、予算を承認する役割もこの会議にはあるのです。

今年はコロナウイルスの影響を受けて会議はバーチャルで開催され、全国のコーヒー農家を代表し各県のコロンビアコーヒー生産者連合会の代表者が会議に参加しました。

スローガンは「団結。進化。未来。コーヒー、コロンビアの希望の光」

生産者連合会のロベルト・ベレス代表は「様々な場面でコロンビアの経済におけるコーヒーの重要性は過小評価されてきました。このパンデミックの中でコーヒー産業は国内経済にとって重要であることが証明されたのです。このシチュエーションはコーヒー生産者のためであり、更に部門に活気をもたらし、輝き革新し前進していくための機会となりました。」と語りました。

今年のコロンビアのコーヒー産業は、コロナウイルスの影響で落ち込んだ国の経済を支える救世主となったのです。

コーヒー市場価格が高騰。過去20年で最高額を記録

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(investing.com)

コモディティコーヒーの価格はニューヨーク証券取引所で決まります。その市場で決まるC価をベースに、各国の品質に応じて+αの価格が上乗せされるのですが、去年2019年のC価は1ポンド当たり80セント台ともの凄く低く、上乗せされる価格もわずか平均23,7セント(/1ポンド)でした。しかし今年はC価も上昇し、上乗せ価格も平均44,1セントと倍近い額まで上昇したため、今年のコロンビアのコーヒー生産額は過去20年で最高額となる8兆7千億ペソを記録することができたのです。

生産量は1400万袋(60kg/袋)を記録し、そのうち1300万袋が海外へ輸出されました。 コーヒー生産者の収入も20%アップしたと言われており、パンデミックで職を失った人々にコーヒーピッカーとしての職を与えることによってコロンビアの雇用を支えたとも評価されています。

財務大臣のアルベルト・カラスキージャ氏は「コーヒー産業は我が国の経済の肺と言えるだろう。コーヒーがなかったら今年のコロンビアの経済はどうなっていただろうか」と振り返りました。

中国や韓国の可能性

コロナウイルスの影響で様々な産業が打撃を受けている中、中国と韓国におけるコーヒーの需要は伸び続けています。

中国においては、近年の世界のコーヒー消費伸び率が2%なのに対し、中国は15%と驚愕な伸びを見せているのです。その背景には中国の経済成長が関係していると言われています。中流階級が増えた事により、伝統的なお茶の代わりにコーヒーを飲む家庭が増えているのだそうです。

中国にコロンビアコーヒー生産者連合会が進出オフィスを構えたのが2006年。当時は150万ドル程度の動きしかありませんでしたが、平均して22%ずつ年々需要が増えていき、今では2000万ドルを超えるコーヒーが中国に輸出されているのです。

一方、韓国は2020年7月の時点で生豆の輸出額が5920万ドルに達しています。来年イヴァン・ドゥケ首相が二国間貿易を強化する為に韓国を訪問する予定のことから、更にこれからが期待される輸出先となっています。

今後、この二国をアジアの主要輸出国として貿易を強化していくとみられ、注目が集まっています。

 

コロナウイルスに打ち勝ったコロンビアコーヒー

以前のブログでコロンビアコーヒー生産者連合会がコロナウイルス対策を徹底しているということを紹介しました。

その努力は実を結び、コーヒーが生産されている16,000の地域の中で、コロナウイルスの確認が感染されたのはその内のおよそ480箇所。割合にしてわずか3,62%の地域に収める事ができました。

コロンビアコーヒー生産者連合会は今回の価格高騰によりたくさんの利益を得たわけですが、この利益はel Fondo de Estabilización de Precios del Caféと呼ばれる基金として、コーヒーの市場価格が暴落した時に生産者を援助する為に使われるそうです。

市場価格は他国の生産状況によっても大きく左右されます。今年はラニーニャ現象でコロンビアには乾期がほぼなく毎日のように雨が降りましたが、一方コーヒー生産量世界1位を誇るブラジルでは逆に干ばつに見舞われました。それによって来年はブラジルの生産量が激減することが予想され、2021年は市場価格も今年と同じか更に上昇するのではないかと言われています。

「2021年の価格も高水準を保てればいいなと思います。2年間高値が続けば、コロンビアの生産者は落ち着いて安定した栽培ができますから」とコロンビアコーヒー生産者連合会のロベルト・ベレス代表はインタビューで語りました。

コロナウイルスによる影響が今度どうなっていくか不透明な中、コーヒー産業に国の期待が集まっています。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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