England Swings!
泣きっ面に蜂のクリスマス、それでも明るく生きる人たち
お次は今回の実質ロックダウンの前に2時間で結婚式の手はずを整えたユダヤ人カップルのお話(下のリンクをクリックすると英語の記事と写真が見られます)。
クロエさんとジェイミーさんは、もともと9月に予定していた結婚式をコロナ規制でなんと3回も延期したそうだ。突然の実質ロックダウンで翌日に控えた結婚式ができなくなると知り、2時間であちこち連絡を取って、午後10時にシナゴーグ(ユダヤ教会)で式を挙げた。今回の規制自体も夕方の発表から約8時間後というこれまでにないスピード実施だったのだ。もともとは130人を招く予定だった彼らの式にこの日参列したのは規制ぎりぎりの15人。ご夫妻はそれでもとても幸せで、結婚後は驚くほどたくさんの人から「すごいね! おめでとう!」というメッセージを受け取って嬉しいそう。
続いての動画には、念のためティッシュのご用意を。
"This really made me cry"
-- BBC Breakfast (@BBCBreakfast) December 23, 2020
In the first lockdown staff at Court House care home moved in to keep Covid out.
With the help of #BBCBreakfast their relatives formed this secret choir as a thank you https://t.co/MlvbsJTNt1 pic.twitter.com/fa57gZxuxC
サマーセット州のこの老人ホームに勤めるスタッフは、最初のロックダウンでは家に帰らず備品室に泊まり込んだりして献身的に働いている。そこでクリスマスのサプライズに、入居者とスタッフの家族が内緒でZoomで集まって合唱団を結成。クリスマスの歌をホームで披露した。家族からのメッセージは、「スタッフの皆さん、本当にありがとう」「ママ、メリークリスマース!」「おばあちゃん、大好き」と胸が熱くなるものばかり。
そしてこのHave Yourself a Merry Little Christmasという選曲もいい。「もうトラブルは終わり、昔のようにまた会えるから、明るく楽しいクリスマスを」という優しい歌詞に、それぞれの心の内を想像してしまい、つい自分のことまで考えてぐっとくる。
最後はスコットランドの仲良しご近所さん。
"It's just wonderful community spirit"
-- BBC Breakfast (@BBCBreakfast) December 22, 2020
Eight months after the first visit, @BBCScotNine has caught up with former rugby player @ScottHastings13 and his neighbours in Edinburgh to see how they're still keeping healthy with street aerobics. https://t.co/G2l06EenD2 pic.twitter.com/fRQqm6soTT
クリスマス風に着飾って路上でエアロビクスをしているのは、エジンバラに住むご近所さんたち。最初のロックダウン中に始まったこの路上エアロビクスがずっと続いていているのだ。みんな表情がいきいきしていて、「あいさつぐらいしかしたことがなかったけど、今じゃみんないい友だちよ」と話すお年寄りも嬉しそう。外に出られない時に、近所に親しい友人のいるありがたさはわたしも今年しみじみと感じた。デジタル時代ではあるけれど、やはり生身の人間と話ができるのは画面とは違う温かい喜びがある。
そしてここでも、ほとんどの人がばかばかしいほど派手ないでたちをしている。クリスマスになるとサンタの帽子やクリスマス模様の編み込みセーターを身につけた人によく出くわすが、彼らからは「見た目なんて気にしない、自分が楽しければいい」という精神がにじみ出ていて愉快でたまらない。しょんぼりしてないで元気出しなさい! と言われている気さえする。
英国では世界に先駆けてコロナウィルスのワクチン接種が始まっている。今は医療従事者や高齢者が優先で、ご近所のおばあさんの知り合いのご高齢者9人がすでに接種を受けたそうで、ひとり頭痛が出た以外はみんな元気にしているとのこと。ドーバー海峡で足止めされているトラックの運転手たちには一般の人の好意で食事が届けられ、今後は運転手が検査で陰性とわかれば入国できるという。それにこのブログを書いている間になんとEU離脱の条件が合意に達したという速報まで入ってきた。
そうだ、最後の明るいニュースとしてこれもご報告しなければ。前回のブログを読んでくださった方は、わが家のクリスマス問題を覚えておいでかもしれない。この問題はもちろん、何週間も悩んだのがうそのように首相会見で一瞬にして解決された。ロンドンから娘の住む郊外に行くことはできないのだ。電話で娘に「残念だよねぇ」と言いながら、心の中で軽くガッツポーズをしてしまったわたしを、神さま、お許しください。
*おまけ*
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
今年は本当に変な年でしたね。ロックダウンで外に出られず、もちろん日本にも帰れず、じれったい思いもありましたが、その反面、ロンドンに住む自分に意識を向けることができました。日本人として感じる違和感やロンドン人としての戸惑い、その間で揺れる今をお伝えしていけたらと思っています。よかったら来年ものぞいてみてくださいね。
みなさま、メリークリスマス&どうぞよいお年を。
来年は自由に明るい気持ちで過ごせますように。
著者プロフィール
- ラッシャー貴子
ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。
ブログ:ロンドン 2人暮らし
Twitter:@lonlonsmile