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感染拡大からゼロコロナへ!メルボルンの大逆転戦略とは(2)
一時は感染が拡大し、メルボルン都市圏では『世界で最も厳しいロックダウン』といわれた111日間に及ぶ長く厳しいロックダウンで、かなりシビアな課題を克服し、新規市中感染ケース0を達成。2020年内には、ほぼ通常の生活を取り戻せるまでになったビクトリア州。
その軌跡を振り返るシリーズ第2回では、実際に州政府が行った対策について取り上げてみようと思う。(第1回はこちら)
オーストラリア国内初のマスク着用義務化
最初にビクトリア州が行ったのは、「マスク着用の義務化」だ。
7月8日からメルボルン都市圏と隣接地区でロックダウンとなった後、7月19日にロックダウン該当地区でのマスク着用義務化に言及。23日から施行された。(参照)
その後、州内の感染者数が600を超え、対象エリアを州全域へ拡大すると発表。8月3日からはビクトリア州内では、マスクなしに外出することはできなくなり、違反者には200豪ドル(現在のレート約1.6万円)の罰金が課されることとなった。(参照)
マスク着用の効果については様々な議論があるものの、急速に感染拡大する中では、少しでも感染制御効果が認められ、州民への負担も少ないのならすぐに導入すべき、という州政府の判断であったと思う。
これについては、後に、世界を代表する感染症専門家で米国新型コロナウイルス対策チームの アンソニー・ファウチ氏が「米国がビクトリア州のようにマスク着用を義務化できれば、感染者数も死者数も違った結果になっていただろう」と称賛した。(参照)
世界でも極めて厳しいロックダウンで感染蔓延阻止へ
メルボルン都市圏と隣接地区で6週間のステージ3のロックダウンに入ったが、その後も感染者が増え続けたため、このままのロックダウンでは十分ではないと判断。8月2日に、当局や警察がさらに強い権限を行使できる「State of Disaster」を発令し、メルボルンでは最高規制レベルのステージ4、それ以外のエリアをステージ3として、州全域でさらに6週間のロックダウンとした。(参照)
ステージ3では、基本的に「Stay at Home」で、食料品など必要不可欠な買い物、病院や薬局などへ行くといった医療や介護、在宅が難しい仕事や通学、運動のためのエクササイズのみの外出が認められるが、さらに厳しいステージ4では、次のような規制が追加された。
1.午後8時~翌朝5時までの外出を禁止とする、いわゆる『夜間外出禁止令』
2.買い物やエクササイズのための外出は1日1回、エクササイズの時間は1時間以内
3.買い物のための外出許可は1家族につき1人のみ
4.外出時の移動可能な範囲は自宅から半径5km以内に制限
5.仕事での外出の場合も、雇用主による外出が必要である理由が記載された『Work Permit 許可証』制を導入、外出時は要携行
また、物販に関しては、スーパーマーケットや薬局などの "生活に必須" の店舗のみ営業可とし、それ以外の店舗は一時閉鎖を余儀なくされ、飲食店は持ち帰りのみとした。(参照)
これらに加え、外出時のマスク着用必須はもちろん、これらのロックダウン規制を破った場合は、罰金刑の対象となった。「State of Disaster」を発令したのは、こうした違反の取り締まりを容易に行えるようにすることにあったといえる。
地域限定ロックダウンに効果がなかったのはなぜか
ビクトリア州では、最初に感染流行地区だけを封鎖したが感染拡大を抑えることはできず、その効果があるようには見えなかった。
なぜ、地域限定ロックダウンに効果がなかったのか?
感染流行地区限定で行った最初のロックダウンは、郵便番号区分によってエリアを区切ったもので、例えば同じ通りであっても西側と東側で郵便番号が異なれば「対象外」となっていた。
また、ロックダウンと言っても完全な外出禁止となるわけではなく、検査で陽性となって外出禁止を言い渡された人でない限り、上述の通り、 "必須"の外出は可能であるし、ロックダウン地域外の人たちは自由に移動しているため、感染流行地域から持ち出されたウイルスは、行動範囲が重なり合った場所(例えば、スーパーマーケットや薬局など)を介し、他の地域へと移動することは容易に想像がつく。
人が移動する限り、ロックダウンされた地域にウイルスが留まることはない。そのため、急速に拡大していたメルボルンでは、行動範囲をできるだけ狭めるために「自宅から半径5km以内」に制限し、買い物のためであっても「(外出できるのは)1家族につき1人のみ」として、移動する人の数をできる限り抑えるという厳しい措置をとったといえるだろう。
こうした、厳格な規制を課して新規感染ケースを減らした後に、ロックダウンの規制を緩和して正常化していくという計画であったが、そこにはさらに厳しい目標値が設定されていた。
その内容とは・・・もし目標を達成できなかったら、また延長となり、達成できるまでずっとロックダウンが続くのではないか?と思えるほどの厳しさであった。
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著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
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