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Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア

平野美紀|オーストラリア

全豪を成功させた主催者が語る東京五輪への懸念

大会を成功させた責任者が東京五輪へ苦言

数々の難題を乗り越えて大会を成功させた全豪オープン。図らずも、今年7月に予定されている東京五輪のモデルケースになるとする声があるが、主催者であるテニス・オーストラリア(豪テニス協会)のCEOであり大会責任者のクレイグ・タイリー氏は、五輪責任者から連絡を受けたことを認めたうえで、全豪開催の経験から東京五輪開催について、いくつかの疑問を伝えたという。(参照

タイリー氏は、豪国内のメディア会見で次のように述べ、

「先日公開されたプレイブック(東京五輪開催のための新型コロナウイルス感染防止対策案)に、私は少し批判的です。見た限り、選手が求める安全策を100%提供しているように見えないし、アスリート同士の濃厚接触について考えていないようだった。五輪は我々が開催した大会よりはるかに大きく、少なくとも10倍はあるでしょう」

さらに、

「(プレイブックと)私たちが行ったことと比較すると、私たちのプログラムは、東京五輪で提案されているよりも、はるかに厳格なプログラムであったといえます」

と付け加え、全豪よりも多くの準備期間と徹底した対策、強固な検疫体制確立の必要性を訴えた。

テニス・オーストラリアは、全豪開催に当たって、どうしたらこのコロナ禍で開催にこぎつけるかを11ヶ月に渡って検討を重ね、州政府と擦り合わせをし、コロナ対策要員として600人のスタッフが動き、大会関係者だけで3万回以上の検査を実施したという。(参照

並々ならぬ努力と慎重な大会運営で、例年より少ないとはいえ、観客を入れて開催できたことは、大勢のファンの前で最高のパフォーマンスを見せたいと願う、アスリートたちの夢を叶えたといえるだろう。

大坂なおみ選手の全豪オープン2021優勝スピーチが、それを物語っているように思う。

「(観客の)皆さん、ここに来て、試合を見てくれて、ありがとうございました。私にとって、信じられないくらいすごい(素晴らしい)ことです。この前のグランドスラム(昨年の全米オープン)は、ファンの皆さんと一緒ではなかったですから。(観客の皆さんに)エネルギーをもらえたことは、本当に大きな意味があります。来てくれて、ありがとうございました!そして、心を開き、私たちを迎えてくれたことに感謝しています。今、グランドスラムを戦えることはとても光栄ですし、当たり前のことではありません。この機会を与えてくれたことに感謝します。来年もまた戻ってきたいです。」

東京五輪関係者は、タイリー氏のアドバイスをどのように受け止めたのか?
全豪よりも厳しい対策で大会を安全に開催することができるのか?そのための準備期間は十分なのか?

さまざまな問題が山積みになった東京五輪。果たしてどうなるのだろう...?

注意)現在オーストラリアは、まだ国境を閉鎖しており、一般観客の来豪は認められていないため、会場に来場した観客はすべて豪国内在住者。

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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