Bachan'sという商品名のバーベキュー・ソースが我が家では、ちょっとしたブームになっている。こちらアメリカではオーガニックの食材を扱うことで有名なホールフーズ・マーケットで扱っている商品であるため添加物がほとんど使われていないのも魅力の一つ。今回、この商品を作っている創設者のジャスティン（Justin Gill)さんにお話をうかがうことができた。

日本の焼肉ソースももちろん美味しいけど、ジャパニーズ・アメリカンの子孫である、ジャスティンさんが、ばあちゃん（祖母 Judy Yokoyama）のレシピを試行錯誤して、作り上げたソースの味は、少しスパイシーなものもあったりと、ジャパニーズな基本の味に、ほんのちょっとだけアメリカーンで斬新な風味が加わっている商品もある。

ジャスティンさんは、幼いころから起業家として成功する夢をもっていて、ビジネスアイディアをたくさん持っていたという。「ビジネスアイディアを、ばあちゃんにいつも話していました。彼女は、私が小さな試作品やビジネスプランの作成を手伝ってくれていました」

いつもばあちゃんは、どんな場所でも大家族のために料理をしてくれた。「私が育った土地では、祖父母はもちろん、叔母と叔父らと共にばあちゃんの作る昼ご飯を毎日食べていて、また曽祖母の住む場所へ行くと、そこでも私たち家族と、そこに住む叔母と叔父、いとこたちと一緒にいつも夕ご飯を食べました。

夏の間は、祖父の大きな造園の仕事を手伝いに行っていたので、毎日昼ご飯はそこでいただきました。彼らは大きな土地を所有しながら、漁師でもありました。とってきた魚は、肥料やほかのものと交換してくれる友人らと物々交換していました。

僕たちは幼い頃から、土地や海からとれたての材料で作った日本の料理を味わいました。多くの料理にソースを使いましたが、皆で一緒に食事したときのことは、ソースの味によって、今も思いおこされるのです」

祖父母は孫たちのスポーツイベントにも観戦を欠かさなかったという。いつでもどんなときでも居てくれるくらい身近な存在だった。「祖父母は私たちの生活において、かけがえのない存在でした。ばあちゃんは、私の人生につづいて、私の娘にとっても、かけがえのない存在となっています」

Bachan'sソースが特別な理由とは何なのだろう？「私たちのソースは、家族にとって本当に家宝なのです。レシピは曽祖父母が日本から移住してきたときにアメリカへ持ってきました。私たちは毎年家族で一緒にソースを作り、家族の営む造園ビジネスのお客様にそれを配っています。それが私にとって個人的に特別な理由です。

製品として特別なのは、可能な限り最高の食材を使用していることです。みりんは日本から調達しており、醤油は伝統的に醸造されています。すべてのソースをコールドフィルします。つまり熱殺菌されていません。このプロセスは、私たちのソースに信じられないほど新鮮で大胆な風味を与えます」

移民してきた曽祖母から祖母へ、そしてジャスティンへと伝えられてきた日本のソースの味がアメリカで受け継がれていることはわかったが、そんな彼は日本へ行ったことがあるのか、ちょっと気になる。

「 2017年に、家族をつれて日本へ行きました。それは初めての日本旅行でしたが、人生で最高の旅行でした。まるで祖国へもどったように感じました。自分が持っていることすら知らなかった自分自身について、多くの疑問への回答が見つかりました。なぜ自分が今の自分のようであるのか、そしてなぜ私の家族が日本人としての特徴の多くを持っているのかについても、腑に落ちました」

どうやら日本人が職人気質なところに、ジャスティンさんは惚れ込んだようだ。この部分を私が翻訳してしまうと伝わらない可能性があるため、原文のまま掲載する。「The pride that people take in what they do, in Japan, was incredibly impressive and it stuck with me. Very inspiring.」

日本では、アメリカでも定番で人気となっている日本のラーメンも食べたというジャスティンさん。そのお話は、次回にて。

【関連URL】
●Bachan'sオフィシャルサイト
●ばあちゃん（Justin Yokoyamaさん)が書いているブログ　（第２次世界大戦中の日系移民の実話も読める貴重なブログ）