- HOME
- コラム
- ベストセラーからアメリカを読む
- 徹底的に嫌な奴だが才能があることは否めない、俳優イ…
徹底的に嫌な奴だが才能があることは否めない、俳優イーサン・ホークの自伝的小説
けれども、この小説の醍醐味は、ゴシップ的な興味を満足してくれるところではない。ホークが、自分を材料にして、自己中心的な俳優の内面と自己破壊的な言動を見事に描いているところだ。
シェイクスピア劇のところが特に良い。役者が演技にのめり込むときの感覚、自分の感覚と他者の評価のギャップ、役者同士のやり取り、ニューヨーク・タイムズの評価に対して役者が抱く複雑な心境など、残酷なほど鮮やかに描いている。
人間として尊敬できない人物が素晴らしいアートを提供するとき、私たちはそれをどう扱うべきなのか悩むものだ。例えば、映画『戦場のピアニスト』を監督したロマン・ポランスキーのような人物だ。多くの未成年の少女(中には当時10歳だった者もいる)に性的暴力を振るったポランスキーは許されるべきではない罪人だ。それゆえに『戦場のピアニスト』という映画も否定するべきなのかという問題への答えは難しい。ポランスキーとホークが同罪とは言わないが、彼のこの小説は同じようなジレンマを感じさせてくれるアートだった。
素晴らしい小説だからといって、ホークの人間性に対する私の評価は変わったわけではない。相変わらず「自己中心的で、自分にしか興味がない、嫌な男」である。けれども、この嫌な男は、その嫌な男をアートに昇華しているし、その能力を持つ類まれなアーティストだ。
私は、このアーティストの作品を純粋に「素晴らしい!」と評価したいと思った。
A Bright Ray of Darkness
By Ethan Hawke
(Knopf)
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
英王室から逃れたヘンリー王子の回想録は、まるで怖いおとぎ話 2023.01.14
米最高裁の中絶権否定判決で再び注目される『侍女の物語』 2022.07.02
ネット企業の利益のために注意散漫にされてしまった現代人、ではどうすればいいのか? 2022.03.08
風刺小説の形でパンデミックの時代を記録する初めての新型コロナ小説 2021.11.16
ヒラリーがベストセラー作家と組んで書いたスリル満点の正統派国際政治スリラー 2021.10.19
自分が「聞き上手」と思っている人ほど、他人の話を聞いていない 2021.08.10
-
東京都港区/外資系企業での一般事務・庶務業務
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 月給21万7,200円~
- 正社員
-
「セールスコンサルタント」日系/外資TOP企業の人事/経営層を相手に採用戦略を提案/人材サービス「紹介/教育/研修」
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収600万円~800万円
- 正社員
-
港区・虎ノ門ヒルズ/外資系大手企業内での一般事務/資料のスキャニング、保管
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 月給21万7,200円~
- 正社員
-
外資インフラベンダー PM/システムエンジニア/詳細設計/サービス関連の会社/Windows
株式会社スタッフサービス
- 東京都
- 月給23万5,000円~55万円
- 正社員