「ブドウの郷」で現代日本の「ありのままの日常」に出会う
◆日本人の几帳面さを象徴する果実の「袋がけ」
ブドウ一色の勝沼(旧勝沼町)は、平成の大合併で誕生した甲州市の一部である。そして、同じ甲州市でも、他の地域ではブドウ以外にもさまざまな果樹が盛んに栽培されている。今回の旅では、旧塩山(えんざん)市に入って初めて桃畑に出会った。サクランボ畑や、レモン畑、ブルーベリー畑などもあった。桃にかけられた防虫用の袋を外す作業をしていた男性に聞くと、「このあたりでは、なんでもできる」とのこと。ただ、何でも自由に栽培できるかというとそうでもないらしい。隣近所との兼ね合いもあって、そこはなかなかデリケートな問題なようだ。
「袋がけ」は、このフルーツ王国をゆっくり歩いてみて、あらためて驚かされたことの一つだ。今の時期、ほとんどのブドウや桃には紙製の袋がかかっている。虫や鳥の害から守ると同時に、味と見た目も良くなるのだという。これは、海外ではほとんど馴染みのない技術で、これもまた、日本人が食べ物の「味」と「見た目」に並々ならぬこだわりを持っていることの証しである。
それに、無数にあるブドウや桃の実に、一つ一つ丁寧に袋をかける地道な作業は、几帳面で器用な日本人にしかできないのではないだろうか。まっすぐに線を引くのにすら四苦八苦するような不器用で面倒くさがりな自分には、想像もつかない。そんな、袋がけされた果実が連なる風景もまた、日本の象徴なのだ。
午後5時過ぎに、目標地点のJR塩山駅に到着。次回は甲府盆地の中核を目指す。真夏はすぐそこまで来ている。盆地の夏はとてつもなく暑いらしい。
今回の行程:甲斐大和駅―塩山駅(https://yamap.com/activities/3999743)※リンク先に沿道で撮影した全写真・詳細地図あり
・歩行距離=16.8km
・歩行時間=7時間55分
・高低差=238m
・累積上り/下り=469m/685m
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