なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?...日本の「頑張る」を再考する
そして、神の存在も大きい。キリスト教が4世紀に国教化したジョージアは、伝統的に信仰深い国である。ジョージア人スポーツ選手が十字を切ったり十字架のネックレスに口づけする光景はよく見られる。
アスリートをはじめトップ同士の戦いでは、人間が理解できない次元で差がつくことは珍しくない。「神以外に説明がつかない」という感覚を私も含めて多くのジョージア人が持っている。
これらの「才能」「立ち回りのうまさ」「神」という3つの要因がうまく組み合わさったときにジョージア人は成功する。ジョージア人オリンピック選手が金メダルを獲得したときには私はスカッとする。それはジョージア流の成功のアプローチも世界で通用するということを確認できるからだ。
日本で育った私は、日本流の「努力」とジョージア流の「うまく立ち回る力」をバランスよく使い分けることができることを幸運に思っている。
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
TEIMURAZ LEZHAVA
1988年、ジョージア生まれ。1992年初来日。早稲田大学卒業後にキッコーマン勤務を経て、ジョージア外務省入省。2021年より駐日ジョージア特命全権大使を務める。共著に『大使が語るジョージア』など。
日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない 2025.04.25
小池知事に聞いてほしい、東京都が学ぶべきEUの留学制度 2025.04.09
12万人が関与、起源は台湾...中国「詐欺組織」が東南アジアで巨大化した理由 2025.04.03
生成AIで記事も動画も作れる今の時代に、記者としてすごく悩んでいること 2025.03.29
日本では起こりえなかった「交渉の決裂」...言葉に宿る責任感とは? 2025.03.21
韓国大統領の弾劾裁判騒動に思う、「大統領降ろし」という当然の権利 2025.03.08
日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻な問題 2025.02.26