日本人の「自由」へのこだわりとは?...ジョージア大使が考える「共通点」と「相違点」
いつも「忙しい」と不満を漏らしている人も、自分がその状況にあることが実は好きである人は珍しくない。しかし、それは決して「現状に甘んじる」という話ではない。
つまり、自らが置かれた状況下において、最大限にできることや自由を模索する努力を惜しまない姿勢のことだ。
厳しい地政学的な条件や制約の下で、自らのアイデンティティーを守るための知恵を絞り続けてきたジョージア人と、日本人に共通点を感じざるを得ないのは、それ故かもしれない。
ちなみに私の職場である在日ジョージア大使館では、日本人とジョージア人の職員が共に働いている。
ジョージア人職員に仕事で細やかな指示を出すとどうも行き詰まってしまうのだが、大ざっぱな指示を出すと物事を途端にうまくまとめ上げてしまう。
他方、日本人職員は指示が細かければ細かいほど、それを完璧にこなす。しかし、逆に「自由にやるように」と言うと、それを重荷に感じてしまうのか、かえって窮屈になり、仕事が滞ってしまうのだ。
最後は半ば私の仕事の悩みを読者の皆さんに聞いてもらった形だが、ジョージア人と日本人の自由に対する捉え方の共通点と相違点を少しはご紹介できたのではないかと思う。
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
TEIMURAZ LEZHAVA
1988年、ジョージア生まれ。1992年初来日。早稲田大学卒業後にキッコーマン勤務を経て、ジョージア外務省入省。2021年より駐日ジョージア特命全権大使を務める。共著に『大使が語るジョージア』など。