外国人は何年いてもしょせん「ガイジン」 日本が中国の製造業から学べること
日本にはまだ高度な技術とそれを支える教育があるのに TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES
<日本を愛した友人は、繁栄を謳歌する中国に渡り唖然とした。製造業から変革すべき日本が、中国に学べる点はたくさんある>
明けましておめでとうございます。さて、年末に少々ショッキングなニュースが飛び込んできた。私の外国出身の友人が、日本を離れて中国で働くというのだ。彼はとても優秀で、日本で博士号を取ったのち、自動車関連の大企業に勤務して論文を数十本発表し、自動運転技術の特許をいくつも持っている。日本が好きで、家族ともども日本国籍となり、良い友人も得て日本に骨を埋めるつもりだった。しかし、長年働き暮らすなかでもう限界だと思ったそうだ。
日本国籍を持ち、日本の大企業に何年も勤めていても、どの不動産屋を通しても部屋を借りることができず、会社が代わりに借りないと住む部屋もなかったという。その後住宅を購入したが、まだ引っ越しをしている最中に近所のオジサンが怒鳴り込んできて、「外国人だかなんだか知らんが、挨拶もないとはどういうことだ」と大声で説教された。
勤務先では外国人、特に欧米人からどんどん辞めていく。外国人は信用されず、会議にもしばしば呼ばれない。貢献していない社員を日本人だからといって特許申請に加えさせる。管理職になっても、途上国から来たかわいそうなガイジン扱い。政治的駆け引きばかりで新しい発想を受け入れる場がない。どんなに国際的に価値がある技術を持っていても、せいぜい部長職で年収1500万円止まり。つまり日本では苦労が報われない、ということだ。
私たち外国人は、日本では何年たってもしょせんガイジンなんだよ、と彼は言うが、残念ながら最近私もそう思う。この私のコラムもウェブで公開されるたびに、イランに帰れなどという心ないコメントがたくさん寄せられる。だから私にはこの友人がどんな思いをしてきたかもよく分かる。
そんななか、彼は中国の自動車やネット関連の有名企業の幹部から、何年にもわたって直々に転職の誘いを受け、ついに中国に行くことを決断したそうだ。その中国の最大都市では、初日から地元の不動産屋で部屋を借りることができ、社内の研究開発部門は20〜30代の若者ばかりで闊達な議論が行われており、長年暮らした日本との差に唖然としたという。もちろん、新しい環境では誰しも目新しく素敵なものばかりが目につき、日がたつにつれてマイナス面も見えてくるもの。それでも繁栄を謳歌する中国大都市の雰囲気がうかがえるというものだ。