トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか

DEFENDING EUROPE

2025年4月4日(金)19時58分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)、マシュー・トステビン(シニアエディター)

NATOのマルク・ルッテ事務総長は1月、「3%を大幅に上回る額」が妥当だと述べた。ピート・ヘグセス米国防長官は2月にEU本部があるベルギーの首都ブリュッセルを訪問し、「武力攻撃に抵抗する個別的、および集団的能力を維持し発展させること」を定めたNATO第3条の「堅持」を求めた。

アメリカは長年、高額な軍事力をヨーロッパに提供してきた。RUSIのアーノルドによれば、戦闘の装備だけでなく、戦闘を可能にする偵察や空中給油、兵站への援助を行ってきた。「いずれも非常にコストがかかる」と、彼は言う。


アメリカは今後、中国と対峙するため軍事資産の多くをインド太平洋地域に移すとみられ、ヨーロッパは不足分を自力で補うことになると、アーノルドは指摘する。

ヨーロッパの防衛は穴だらけだ。軍事専門家と政府関係者によれば、なかでも防空システムの不備、長距離ミサイルや戦車や装甲車の生産能力と兵士の不足は深刻だという。

24年5月、フィナンシャル・タイムズ紙は、現在のNATO加盟国の防空能力は、中欧・東欧を大規模な攻撃から守るのに必要な水準の「5%」にも満たないと報じた。

チェコの国防当局者は「近い将来、ヨーロッパはロシアの攻撃から自国を守れなくなるだろう」と、本誌に述べた。ウクライナと停戦すれば、ロシアは軍事力をよそに振り向けることができる。「バルト3国を攻撃されたら、NATO単独では阻止できない」と、彼は言う。

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トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

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