トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか
DEFENDING EUROPE
問題は予算だけではない。新兵募集に応じ、長期にわたり軍務に就く若者がどれだけいるかも悩みの種だ。23~24会計年度に英陸軍と海軍に入隊した新兵は募集目標の約60%、空軍はそれより多少ましな程度だった。
スムルダンで演習に参加した英兵たちは、ウクライナに派遣される可能性があるなら、勇んで新兵募集に応じる若者はいくらでもいると話していた。いささか楽観的な見方だが、そうなってくれないと困るのも事実だ。米政府の元職員によると、戦闘能力を持つ兵士はイギリス軍の兵員数の4分の1程度にすぎない。
実際には同盟国を守ることはおろか、祖国防衛を進んで担う若者もそう多くはないようだ。イギリスで最近行われた調査では、40歳未満の成人のほぼ5人に2人は第3次世界大戦が起きても兵役を拒否すると答え、「外国の軍隊が今にも攻めてくる」事態になっても自分は武器を取らないと答えた人は30%に上った。
フランスの状況も似たようなものだ。ウェブメディアのポリティコの昨年の報道によると、最近の仏軍兵士の勤続年数は平均すると以前より1年短くなっている。
ウクライナに平和維持部隊を派遣するというスターマーの提案は図らずも、欧州の指導者たちの足並みの乱れをあぶり出す結果となった。加えて、米軍不在のNATOのリーダーシップ戦略の欠如も露呈した。