米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

米最高裁判所は19日未明、移民当局に拘束されている複数のベネズエラ人男性の強制送還を一時停止するようトランプ政権に命じた。写真はテキサス州アンソンにあるブルーボネット拘置所(2025年 U.S. Immigration and Customs Enforcement/Handout via REUTERS)
Andrew Chung Luc Cohen Kristina Cooke Jack Queen
[19日 ロイター] - 米最高裁判所は19日未明、移民当局に拘束されている複数のベネズエラ人男性の強制送還を一時停止するようトランプ政権に命じた。男性らの弁護士は、裁判所が義務付ける司法審査なしに強制送還が実施されようとしているとし、差し止めを求めていた。
最高裁は19日未明に文書を出し、「政府には、本裁判所のさらなる命令があるまで、(同様事案で集団訴訟の原告となり得る)いかなる被拘束人も米国から送還しないよう指示する」と命じた。
同文書には署名がなかった。保守派のクラレンス・トーマス判事とサミュエル・アリト判事がこの決定内容に反対した。
問題となっていたのは、テキサス州アンソンのブルーボネット拘置所に収容されている数十人のベネズエラ人男性の処遇。アメリカ自由人権協会(ACLU)の弁護士は18日、最高裁判所を含む複数の裁判所に緊急要請書を提出し、一部の男性が既にバスに乗せられ、国外退去を告げられているとして、即時の対応を求めていた。
ACLUは、男性らは急に国外退去を告げられ、最高裁が義務付けた異議申し立てを行うような現実的な猶予が与えられなかったと主張した。
ホワイトハウスにコメントを求めたが、これまでに回答はない。
移民取り締まりの強化を掲げて当選したトランプ氏は、ベネズエラ犯罪組織のメンバーを迅速に強制送還するためとして、1798年制定の「敵性外国人法」を用いる方針を決定。最高裁は7日、一定の制限付きで同法の適用を認める判断を出したが、その際、拘束されている人びとに対して合理的な期間内に強制送還の通知を行い、適切な場所で人身保護令状による救済を求められるようにする必要があるとの意見を付していた。
今回の案件は、この最高裁判断が示されて以降初めての強制退去措置となるものだった。