トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか

DEFENDING EUROPE

2025年4月4日(金)19時58分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)、マシュー・トステビン(シニアエディター)

平和維持活動もできない

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NATO即応部隊の初の大規模演習「ステッドファスト・ダート」はルーマニア、ブルガリア、ギリシャで行われた。写真はブルガリアで演習する狙撃手 HRISTO RUSEV/GETTY IMAGES

核保有も軍事バランスに大きな影響を及ぼす。ロシアと同様、英仏も核兵器を保有しているが、核弾頭の数は英仏合わせてもロシアの10分の1足らず。それでもドイツの次期首相と目されるフリードリヒ・メルツは「フランスの核の傘に入る」ことを検討すべきだと主張している。

とはいえ国防を担うのは結局のところ人間だ。残念ながら兵員数でも欧州勢が東欧諸国を守り切れるかは心もとない。

イギリスが欧州のNATO加盟国の盟主を務めることになりそうだが、キア・スターマー英首相は昨年、イギリス軍の地上部隊は他国への展開で「兵員がごっそり抜き取られた」状態だと語った。


スターマーは今年2月、ウクライナに平和維持部隊を派遣する用意があると発言したが、現実問題として米軍の支援なしで停戦を維持できるのかは大いに疑問だ。

スターマーは「アメリカが安全を保証すること」がロシアのウクライナ侵略を「効果的に抑止する唯一の方法」だとも語っている。これでは、欧州の軍事力だけでロシアに停戦を守らせることは不可能だと認めたようなものだ。

実際、英陸軍の兵員数はここ数百年の最低レベルまで落ち込んでいる。リチャード・ダナット元英陸軍参謀総長は2月半ば、英陸軍の今の規模ではウクライナで平和維持活動を主導することは極めて困難だと語った。

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