トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか
DEFENDING EUROPE
特に狙われやすいのはバルト3国だ。ウクライナと同様、旧ソ連の共和国であり、ロシア帝国の支配下に置かれた歴史もあるからだ。
この3国がロシアと、ロシアの飛び地カリーニングラード、親ロ派国家のベラルーシと接する国境線は総延長約1600キロに及ぶ。しかも、NATOの他の国々からこの3国に入る唯一の陸路はリトアニアとポーランド東部との国境に横たわる長さ100キロほどのスバウキ回廊だ。この回廊は地形的に防衛が難しく、ロシアが虎視眈々と掌握を狙っている。
ウクライナで停戦が成立すれば、プーチンは「膨大な数の兵士」をほかに回せると、エストニアのハンノ・ペフクル国防相は昨年11月に本誌に語った。同国の情報機関も最近、ロシアが軍備立て直しに成功すれば、NATOは「今後10年以内に大規模なソ連式の陸軍と対峙する」ことになりかねないと警告している。
ヨーロッパが取るべき道は今や明白だと、ラヤ前スペイン外相は言う。EUとNATO加盟国は自らの手で未来をつかまなければならない。「さもなければ、アメリカ、ロシア、中国という大国の思惑がヨーロッパの命運を決めることになる」

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