「宇宙支配」を狙う中国の「静かなる第一歩」がチリで始動、大量の「ミニ中国」を南米に作る真の目的は?
CHINA’S SPACE LEAP
合弁契約は「長く困難な」、そして「ちょっと変わった」8年の交渉の末にまとまったと、UCNの代表を務めたモニビディンは言う。交渉が難航したのは、中国側が施設の利用を制限しようとしたためだ。
「建設費を出した中国が所有権を主張するのはもっともな話だ」と、モニビディンは言う。だが、それではチリ政府は納得しない。
最終的にUCNが折れて、設備を使わないことを条件に敷地への出入りを認めてほしいと要求し、中国側も了承した。「あなた方のベッドやコンピューターは使わないが、ノックしたら入れてくれと頼んだのだ」と、モニビディンは説明する。
中国側がどんな機器を使い、どんなメンバーが何人滞在するかといった詳細は契約書には明記されていない。軍事目的に使えるデータ収集を禁じる文言も盛り込まれなかった。
「機密の活動や情報は望ましくないというわれわれの意向は伝えた」と、モニビディンは話す。UCNは天文公園を学生の教育に利用する予定で、それには中国側も協力するという。
しかし匿名を条件に本誌の取材に応じた3人の情報筋によると、この天文台で中国側がどんな観測を行うかは、UCNは一切関知しないことになっているらしい。天文公園は最終的にチリ領内にあるミニ独立国のようになる。
その公園内でも天文台を取り巻く約1平方キロの一画は特殊な警備フェンスで囲まれ、外部の人間は完全にシャットアウトされると、情報筋の1人は言う。