コワモテ国家ハンガリーが、異次元の優しい家庭政策で出生率アップに成功している
HUNGARY’S MAGIC WAND
ハンガリーでは法律で残業が認められているのは年間250時間以内。一方、日本は360時間以内。OECDは「長時間労働=週50時間」と定義しており、日本人の15.7%が週50時間以上働く(OECD41カ国中36位)半面、ハンガリーは1.5%しかいない(OECDで8位)。
「ウェルビーイング」とは、幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて、満たされた状態で持続的な幸福を指すが、ハンガリー政府は子どものウェルビーイング施策の1つとして、「エリザベス・プログラム」に今年、2280万ユーロ(約37億円)を費やした。
これは観光地として人気のバラトン湖の畔にある別荘で行われる、ヨーロッパ最大のキャンプで、子どもたちが長期休暇を過ごせる幅広いアクティビティーが提供されている。12年から24年まで計約140万人の子どもたちが訪れた。
このように「ワークライフバランス」や「子どものウェルビーイング」など、「国民は心身共に満たされ幸福であるべきだ」という視点がハンガリーの家族政策の重要な軸となっている。
さらに、家族政策における住宅購入補助プログラムは建築業界の雇用を生み出し、11.2%だった10年の失業率が22年には3.6%まで下がった。「人々は家と同時にさまざまな商品やサービスを買います。つまり、これは経済全体が活性化されるということ。課題はありますが、税収も上がり経済効果を出しました」とハンガリー国際問題研究所のバシャ・ラースロー博士は言う。