コワモテ国家ハンガリーが、異次元の優しい家庭政策で出生率アップに成功している

HUNGARY’S MAGIC WAND

2024年10月23日(水)19時46分
此花わか(ジャーナリスト)

newsweekjp20241022104843-c07aa2e1826b935690f874aff61f918db4d7a71b.png

ハンガリーの5つの家族政策

ハンガリーの家族政策は、「家族の経済的支援」「住宅購入支援」「家族に優しい環境づくり」「ワークライフバランス」「子どものウェルビーイング対策」の5つの分野に分かれており、各分野には多数の施策が存在する(上記図表参照)。

オルバン政権の行き届いた家庭・教育施策をこちらで紹介

これらの施策は、まだ子どもを育てる資金のない学生でも、若いうちに子育てができるように設計されている。なぜなら、どの先進国でも、キャリアや経済的安定を待っているうちに結婚や出産が遅れ、その結果、子どもが欲しくても妊娠が難しくなる年齢に達するカップルが増えているからだ。


さらに、祖父母、父親や母親が3年間みっちり育休を取っても、母親が好きな形で職場復帰でき、子どもが3歳になるまで親は残業禁止という点も、日本の少子化対策にはない視点だ。

「ハンガリーの家族政策は、女性が望む働き方をサポートします」と強調するノバーク前大統領。興味深いことに、ハンガリーでは、10年から22年まで働く女性の割合は59%から75%まで増えたのに、出生率も同期間で1.25から1.52まで上がった。子どもがいても働きやすい環境があるのではないか。

そもそも、子どもがいようがいまいが、仕事以外の生活を大切にし、人生を楽しむ価値観がハンガリーには根付いている。実際に日曜日は多くの店がシャッターを下ろす。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏経済回復に疑問浮上、見通しは維持=ECB専

ワールド

トルコ防衛企業に「テロ攻撃」、4人死亡 実行犯殺害

ビジネス

カナダ中銀、0.5%利下げ 低インフレ期に回帰と指

ビジネス

米コカ・コーラ、24年通期売上高10%増目指す 米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...夫フセイン皇太子と仲良くサッカー観戦
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 4
    大谷とジャッジを擁する最強同士が激突するワールド…
  • 5
    ウクライナ軍、迫り来るロシア装甲車を「超至近距離…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    北朝鮮がその気なら韓国も!? ロシア派兵に対抗してウ…
  • 8
    「国産メーカー優先」をやめたNTTドコモ...経済安全…
  • 9
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 10
    なぜイスラエルは攻撃を拡大させるのか?...「いつか…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中