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PTSD

戦争を経験した人の2割以上が「心の病」に...求められるウクライナ戦争避難民の心の傷を癒やすケア

UKRAINE’S PTSD LESSONS

2024年6月5日(水)09時24分
エリー・クック

ウクライナについて語るとき、「心的外傷後ストレス障害」という表現は必ずしも適切ではない。戦争は今も続いており心的外傷は(「後」ではなく)現在形の問題だからだ。

しかもトラウマは何度も襲ってくる。その繰り返しに対処する方法を教える必要があるとラハドは言う。「そういう脅威を抱えて生きていくにはどうすればいいか。そこを伝えるのが本当に難しい」

「どんなときでも自分の暮らしを守り抜く」ためのスキルを少しでも多くのウクライナ人に伝授し、それを他の人たちにも伝えてもらう。それがラハドの望みだ。

ウクライナ政府もメンタルヘルスの問題に取り組み始めた。大統領夫人のオレナ・ゼレンスカは、開戦直後から一貫してメンタルヘルスの重要性を説いてきた。民間にも、そうした活動に取り組む団体がいくつも生まれている。

なにしろ事態は深刻だ。WHOによれば、この10年ほどで戦争や紛争を経験した人の2割以上は鬱病やPTSD、双極性障害、統合失調症などを発症している。心の傷は見えにくいが、だからこそしっかり対処し、患者を支える必要がある。

アフガニスタン出身のナシールが言う。「戦場を逃れることはできる。祖国を離れることもできる。でも自分の心からは逃げられない」

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