インドネシア、クーデターから2年のミャンマーに将軍派遣へ 民主化への経験共有は可能か
SOE ZEYA TUN - REUTERS
<ASEAN議長であり、かつて民主化の道を歩んだ国がミャンマー問題を解決しに動き出した>
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は2月2日、膠着状態に陥っているミャンマー問題への打開の道筋を探るために近くインドネシア軍の将軍クラスをミャンマーに派遣する方針をロイター通信とのインタビューの中で明らかにした。
インドネシアとしては1998年に約30年にわたるスハルト長期独裁政権の崩壊から民主国家への道を歩み始めた経緯や経験をミャンマーの軍事政権と共有することでなんとか軍政と民主勢力との対話による平和的な解決を促す狙いがある。
インドネシアは2023年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国であることや2021年2月1日のクーデター発生を受けて同年4月に首都ジャカルタでASEAN緊急首脳会議を開催するなど、ミャンマー問題に積極的に関わって来たことも今回の動きの背景にある。
変革に関係した将軍を派遣へ
ジョコ・ウィドド大統領は「将軍派遣」に関して具体的な日程や派遣する将軍の人選に関しては明らかにしなかったが、陸軍幹部で第6代大統領だったスシロ・バンバン・ユドヨノ氏、ジョコ・ウィドド大統領と親しいアンディカ・プルカサ前国軍司令官、プラボウォ・スビアント国防相などの名前が取り沙汰されている。
しかしジョコ・ウィドド大統領がインタビューの中で「インドネシアの(民主化という)変革に関与した人物」を想定していると述べたことから1998年以降のインドネシア民主化に関わった軍人である可能性が高く、国防相や政治・法務・治安担当の調整相も歴任したウィラント元国軍司令官の可能性も浮上している。
ウィラント氏は1998年当時の国軍司令官だったが、国民の民主化を求める運動が高まるなかでスハルト大統領に「大統領辞任」を促しそれが結局大統領職に拘り続けていたスハルト大統領に「引導を渡した」結果となった経緯がある。
大統領自身のミャンマー訪問に含み
ジョコ・ウィドド大統領は自身のミャンマー訪問についてインタビューでは完全に否定せず含みをもたせながらも、ミャンマー軍事政権のトップがミン・アウン・フライン国軍司令官という軍人であることから「同じ軍人という背景をもつ者同士の方が話ししやすいという面もある」として、今回はインドネシア国軍の退役将軍クラスによる「可能な限り早い時期」の派遣検討となったとしている。
ミャンマーにはクーデター以降ASEAN加盟国の首脳クラスとしては2022年の議長国だったカンボジアのフンセン首相が首都ヤンゴンを訪れミン・アウン・フライン国軍司令官と首脳会談を行ったことがある。
さらに外相クラスでは2021年の議長国ブルネイのエルワン第2外相がASEAN特使として、さらに2022年に同じくASEAN特使だったカンボジアのプラク・ソコン外相などがヤンゴンを訪問し事態打開策を協議している。