台湾海峡めぐる緊張激化 中国との衝突を避けたい米海軍に課題
独立系機関の米海軍協会によると、現在米海軍に配備されている111隻の戦艦の半数以上が、日本を拠点とし西太平洋からインド洋まで担当する第7艦隊の管轄下にある。
米海軍は原子力空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」の4隻を台湾東方の海域に配備した。
F―35戦闘機を搭載した別の強襲揚陸艦が日本の近くの港に停泊している。また、攻撃型潜水艦もこれらの編隊近くにいる可能性が高いと専門家はみている。
空母「ロナルド・レーガン」も南シナを避けて移動
ロナルド・レーガンを中心とする空母打撃群の動向は、ペロシ氏ら米議員代表団がアジアに来訪する数日前から注視されていた。
ラジオ・フリー・アジアは7月、ロナルド・レーガン空母打撃群が南シナ海南部のスプラトリー諸島にある中国の要塞付近をパトロールした後、月内にベトナム中部のダナン港に寄港する予定であると報じた。
しかしその後、打撃群がルートを変更し、7月22日から5日間、シンガポールに寄港することが判明。中国が7月16日から20日にかけて、パラセル諸島のさらに北にある基地の周辺10万平方キロメートルを範囲とする演習を開始したためとみられる。
米国とベトナムの両政府関係者ともに、このルート変更や理由についてコメントしていない。
米海軍の公式フェイスブックページによると、ロナルド・レーガン空母打撃群はその後、フィリピン群島の狭い海域を通り、台湾の西の海域に達した。
シンガポールの安全保障専門の研究者コリン・コー氏は、フィリピンと南シナ海の間を北上するのではなく、空母がフィリピンのサンベルナルディノ海峡を通過するのは異例だと指摘。「中国を不必要に刺激せずに必要な場所に移動できるよう、慎重に調整された配備だろう」と語った。
(Greg Torode記者、Idrees Ali記者)