SWIFT排除でロシアは中国CIPS頼み...中国は「欧米との両天秤」で損得勘定
China Could Hand Putin a Lifeline As Sanctions Devastate Russia's Economy
Sputnik/Alexei Druzhinin/Kremlin via REUTERS
<ロシア軍によるウクライナ侵攻後も、中国は「正常な貿易関係を続ける」と表明しているが、そこにはしたたかな損得勘定があるようだ>
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国際社会がロシア経済への締めつけを強化するなか、いくつかの忠実な「同盟国」は、ロシアとの広範囲に及ぶ貿易関係を継続する意思を表明している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとっては、これが頼みの綱となりそうだが、それもいつまで続くかは不透明だ。
最初にロシアへの支持を(公然と)示唆したのは、アメリカの同盟国でもあるパキスタンだった。同国のイムラン・カーン首相は2月24日、ロシアがウクライナへのミサイル攻撃を始めたわずか数時間後にモスクワを訪問し、小麦と天然ガスを輸入する契約を交わした。
だがロシア政府にとって最も重要なのは、中国との貿易だ。ロシアの2019年の対中輸出総額は573億ドルを記録した。これはロシアの輸出全体の13.4%を占めており、これで中国はロシアにとって最大の輸出先となった。
そしてプーチンがウクライナに対する軍事作戦を開始して7日目となった3月2日、中国政府は一連の声明で、今後もロシアと正常な貿易関係を続けるつもりであり、西側諸国による経済制裁やアジアの複数のテクノロジー企業による制限措置には参加しない意思をはっきりと示した。
中国は「巻き添え被害」を警戒
中国外務省の華春瑩報道局長は、2日の定例記者会見の中で、中国はあらゆる「一方的な制裁」に反対であり、そうした制裁が問題解決に効果的だとは思わないと述べた。「(制裁は)関係諸国の経済状況や人々の生活に重大な困難をもたらし、分断や対立をさらに悪化させるだけだ」
華春瑩はまた、ロシアとウクライナの争いに対応する上で、各国は「中国の正当な権利や利益に悪影響をもたらすべきではない」と述べ、対ロ制裁が中国に巻き添え被害をもたらす可能性を示唆。さらに「中国とロシアは今後も、互いへの尊敬と平等、相互利益の精神のもと、正常な貿易関係を続けていくつもりだ」と述べた。
ロシア軍によるウクライナの首都キエフへの進軍を阻止しようと、西側諸国は週末にかけて、ロシア経済への締めつけを強化するための、さまざまな経済措置を導入。EU(欧州連合)は、200カ国の1万1000を超える銀行が使用している国際決済網「SWIFT」から、ロシアの複数の大手銀行を排除することで合意した。