SWIFT排除でロシアは中国CIPS頼み...中国は「欧米との両天秤」で損得勘定
China Could Hand Putin a Lifeline As Sanctions Devastate Russia's Economy
さらには、ロシアの中央銀行が主要な外貨で取引を行う能力を制限する措置が決定され、これを受けてロシアの通貨ルーブルの価値は急落し、過去最安値(1ルーブルが1セント未満に)を記録した。
こうした事態を受けてロシア政府は3月1日、外国企業のロシア市場からの撤退を制限する措置を取る意向を示した。
ロシアの外貨準備高(「軍資金」と呼ばれている)は、6300億ドルにのぼると推定されている。ロシア中央銀行の2021年夏時点のデータによれば、その内訳は32.3%がユーロ、16.4%が米ドル、13.1%が人民元、21.7%が金で、残りの16.5%が英ポンドを含むその他の通貨だ。
中国の経済アナリストである任沢平は、各種制裁の効果が明らかになった2月28日、ロシアが今後、中国独自の人民元による国際決済システム「CIPS」を使用する可能性があると予想した。ロシアにとっては、これでSWIFT排除による打撃を和らげることができる可能性があるためだ。
しかしCIPS使用が長期化すれば、世界市場が二分されることになるし、ロシア政府が中国の通貨に大きく依存することにもなる。
全ての見通しが楽観的な訳ではない。ロイター通信は2月28日に、中国の複数の輸入業者がロシア産の石炭の購入量を減らしており、複数の国有銀行が制裁の飛び火を恐れて、ロシアの商品に絡む融資を制限していると報道。中国最大手の商業銀行――中国銀行と中国工商銀行――が、ロシア商品購入のための融資を制限しているとも報じられている。
「中国は西側の対ロ制裁を尊重」
中国はロシアとの貿易を継続すると主張しているが、アメリカは中国政府が西側諸国の対ロ制裁を尊重するだろうと考えている。ジョー・バイデン米政権のある当局者(匿名)は週末、ロイター通信に対して、中国はロシアが経済制裁を回避できるよう積極的な支援を行ってはいなかったと述べた。
この高官は「今のところ、中国がロシアの救済に動いている兆候はない」と述べ、もしもロシアを支援すれば中国経済にも「大きなダメージ」が及ぶ可能性があると指摘した。またホワイトハウスのジェン・サキ報道官は2月28日、記者団に対して、中国がロシアに対する「制裁の影響をカバーできるということはない」と述べた。