中国の怒りを買おうとも...EUの台湾への急接近は、経済的にも合理的な判断だ
Europe Is Doubling Down on Taiwan
リトアニアでさえ、中国政府の攻撃的な姿勢に反発し、台湾の代表機関が「台北」ではなく「台湾」の名称を使うことに同意した。中国は猛反発してリトアニアに脅しの集中砲火を浴びせたが、あいにくリトアニアと中国の間にはほとんど経済関係がない。だから脅しは効かない。
欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長とシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)も、中国政府の脅しに書簡で抗議したことを明らかにし、「EU加盟国に対する脅迫や政治的圧力、強制的な措置は受け入れられない」と強調した。
この先に必要なのは、欧州議会の決議を支持するよう加盟各国に働き掛けること。そして仮に中国が台湾に攻撃を仕掛けた場合には団結して強力に対応する用意があると表明することだ。既に中東欧の一部加盟国は台湾政策を大きく転換している。
この動きに、欧州の諸大国も続くべきだ。中国寄りだったアンゲラ・メルケル首相が去り、新たな枠組みの連立政権が誕生するドイツには、主導的な役割を果たすチャンスがある。連立協議中の3党は全て、台湾との関係拡大を公約している。
新首相の有力候補であるオーラフ・ショルツの社会民主党(SDP)は綱領に、欧州を「自信に満ちた平和大国」にすると明記している。ならば台湾に対する中国の侵攻を防ぎ、台湾海峡の平和を維持するために非軍事的な貢献をするべきだ。
中国完全排除のシナリオ
台湾に関して欧州が果たすべき軍事的な役割はない。だが政治的には重要な役割がある。台湾いじめは高くつくぞと、中国に警告することだ。
その際にはアメリカを含む関係諸方面と協力し、最も効果的な手段を見つけなければならない。
とりわけ考慮すべきは、高機能半導体のバリューチェーンから中国を完全に排除することの実現可能性だ。この分野で中国は外国に依存しているから、米欧をはじめとする先進工業国が一致団結して動けば有効な抑止力となり得る。
だが、あいにく欧州諸国の政治家のほとんどは、過去にこうしたシナリオを検討したことさえない。
とはいえ、ためらってはいられない。事は重大だ。台湾海峡の現状を維持するためにできることは何でもする。それが経済的にも政治的にも欧州全体の利益になる。
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