アトランタ銃撃、容疑者が性依存症でも動機がアジア人差別でなかったことにはならない
Atlanta Attack Exposes Dangerous Sexualization of Asian Women
3月14日、ワシントン州シアトルのチャイナタウンでアジア人への暴力を止めるよう訴える人々 Lindsey Wasson-REUTERS
<モノのように扱われたり空想は異常な性愛の対象にするのも、アジア人差別と同じことだ>
3月16日に米ジョージア州で発生した銃撃事件では8人が死亡し、このうち6人がアジア系の女性だった。アジア系に対する暴力が吹き荒れるなかの新たな犯行に、全米のアジア系コミュニティーは震え上がった。
事件の現場となったのは、アトランタ周辺にある3軒のマッサージ店。警察は一連の銃撃事件に関連して、ロバート・アーロン・ロング容疑者(21)を逮捕した。犠牲者の半数以上がアジア系の女性だったことから、アジア系住民が標的にされたのではないかという懸念が浮上した。
詳しくはまだ調査中だが、警察が17日に明らかにしたところによれば、ロングはセックス依存症に悩んでおり、誘惑を断ち切りたかったと話しているそうだ。チェロキー郡保安官事務所のジェイ・ベイカー警部は会見で、次のように述べていた。「まだ断定するのは早いが、容疑者は人種が動機ではないと主張している」
しかし専門家やアジア系コミュニティーは、性依存症だろうと、アジア系女性を「フェティシズム(異常な性愛)の対象」にすることはアジア系に対する人種差別に他ならないと主張する。
アジア系女性は「狙われやすい」
当局の発表で、一部の人々は犯行は人種差別ではなく、セックス依存症と怒りに駆り立てられた犯行だと考えるようになった。加害者がこれらの施設を襲ったのは、彼が頻繁に利用していたマッサージ店に対する強い怒りが原因であり、たまたまそこの従業員がアジア系の女性たちだった、というわけだ。
だが、在米韓国人委員会のエイブラハム・キム事務局長は本誌に対してこう語る。「この男のセックス依存症と憎悪は、必ずしも人種と無関係ではない。今回の攻撃は、アジア系女性をモノとして見たり、定型化されたイメージに当てはめたりする傾向、つまり人種差別的な側面がある」
ほかにも複数のアジア系米国人コミュニティー関係者が、人種差別とアジア系女性をモノとして・性的な対象として見る傾向には関連があると声を上げている。
アジア系米国人や太平洋諸島出身者を標的とした犯罪について追跡調査を行っている非営利団体「Stop APPI Hate」の創設メンバーであるラッセル・ジョン博士は、ミネソタ州の地元テレビ局KARE11に対して、次のように述べた。「(女性が)フェティシズムの対象やモノとして見られているのは明らかだ。女性は男性に比べて2.3倍も攻撃されやすい。アジア系の女性は、そのほかの女性の2倍、標的にされていると思う」