ビットコイン価格は「天井知らず」と説く諸理論
No Ceiling in Sight for Bitcoin Value, Analysts Say.
人類はついに金のなる木を見つけた? Jongho Shin-iStock
<ビットコインの供給には限りがある、インフレに対抗できる、GAFAを出し抜ける等々、とにかくビットコインはこれまでの常識が通用しない価値保有手段だと投資家たちは言う>
仮想通貨ビットコインの急騰が止まらない。2月16日に初めて5万ドルを突破し、「何があっても手放すな」を意味するHold on for dear lifeの頭文字、HOFDLの合言葉が生まれた。この異名はいみじくも、ビットコイン相場の上昇圧力である「長期保有」戦略と、将来変動が避けられないビットコインの運命の両方を表している。
「ビットコインは仮想通貨の金だ」と、ピッツバーグに本拠を置く非営利の調査機関「循環研究財団」のリチャード・スミスCEOは本誌に語った。「発行量に上限があるため、多くの保有者は『絶対売らない』構えだ。こういう金融商品はこれまでなかった」
2月17日には5万2000ドルの大台に乗せ、なおも史上最高値を更新し続けている。
ビットコインの発行上限は、2100万BTCに設定されている。2020年8月から12月までに新たに採掘されたビットコインは推定15万BTCにすぎないが、購入総額は約36万BTC。
新規の供給と現時点での需要の差が価格を押し上げ、2021年に入って価格は約68%上昇。流通総額は約9090億ドルに上るとみられる。
下落は覚悟の上
「ビットコインは10万ドルから20万ドルくらいまで上るだろう」と、スミスは言う。「普通はこれほど価格が上がるのは、投機熱が異常に高まって、誰も実際にはその資産の価値を知らずに買い上がっているときだ。投機の対象は(ハイリスク・ハイリターンの)ペニー株やビットコインなどいろいろあるが、投機的な買いがこれほど増えると、たいがいソフトランディングは難しくなる」
相場が上り基調にあるときは、天井がどこか見極めにくい。記録にある最古の金融バブル、17世紀オランダのチューリップ・バブルで、多くの投資家が泣きを見たのもそのためだ。
ただし、ビットコイン投資は通常の取引とはちょっと性質が異なる。基本的な心得として、一時的な下落は避けられないと腹を括っておくことだと、スミスは忠告する。
「100%の利益を期待しているなら、短期的な50%の損失を受け入れること。リスクとリターンをよく考えること。バブルに踊った連中が痛い目に遭うのは、それが分かっていないからだ」
一部の投資家は下落し始めた途端、損失を最小限にしようと売りに走るが、長期的な投資家にとって、それは買い時かもしれない。