最新記事

仮想通貨

ビットコイン価格は「天井知らず」と説く諸理論

No Ceiling in Sight for Bitcoin Value, Analysts Say.

2021年2月18日(木)18時18分
スコット・リーブス

人類はついに金のなる木を見つけた? Jongho Shin-iStock

<ビットコインの供給には限りがある、インフレに対抗できる、GAFAを出し抜ける等々、とにかくビットコインはこれまでの常識が通用しない価値保有手段だと投資家たちは言う>

仮想通貨ビットコインの急騰が止まらない。2月16日に初めて5万ドルを突破し、「何があっても手放すな」を意味するHold on for dear lifeの頭文字、HOFDLの合言葉が生まれた。この異名はいみじくも、ビットコイン相場の上昇圧力である「長期保有」戦略と、将来変動が避けられないビットコインの運命の両方を表している。

「ビットコインは仮想通貨の金だ」と、ピッツバーグに本拠を置く非営利の調査機関「循環研究財団」のリチャード・スミスCEOは本誌に語った。「発行量に上限があるため、多くの保有者は『絶対売らない』構えだ。こういう金融商品はこれまでなかった」

2月17日には5万2000ドルの大台に乗せ、なおも史上最高値を更新し続けている。

ビットコインの発行上限は、2100万BTCに設定されている。2020年8月から12月までに新たに採掘されたビットコインは推定15万BTCにすぎないが、購入総額は約36万BTC。

新規の供給と現時点での需要の差が価格を押し上げ、2021年に入って価格は約68%上昇。流通総額は約9090億ドルに上るとみられる。

下落は覚悟の上

「ビットコインは10万ドルから20万ドルくらいまで上るだろう」と、スミスは言う。「普通はこれほど価格が上がるのは、投機熱が異常に高まって、誰も実際にはその資産の価値を知らずに買い上がっているときだ。投機の対象は(ハイリスク・ハイリターンの)ペニー株やビットコインなどいろいろあるが、投機的な買いがこれほど増えると、たいがいソフトランディングは難しくなる」

相場が上り基調にあるときは、天井がどこか見極めにくい。記録にある最古の金融バブル、17世紀オランダのチューリップ・バブルで、多くの投資家が泣きを見たのもそのためだ。

ただし、ビットコイン投資は通常の取引とはちょっと性質が異なる。基本的な心得として、一時的な下落は避けられないと腹を括っておくことだと、スミスは忠告する。

「100%の利益を期待しているなら、短期的な50%の損失を受け入れること。リスクとリターンをよく考えること。バブルに踊った連中が痛い目に遭うのは、それが分かっていないからだ」

一部の投資家は下落し始めた途端、損失を最小限にしようと売りに走るが、長期的な投資家にとって、それは買い時かもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも30人死

ワールド

米がウクライナ和平仲介断念も 国務長官指摘 数日で

ワールド

米側の要請あれば、加藤財務相が為替協議するだろう=

ワールド

次回関税協議で具体的前進得られるよう調整加速を指示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 7
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 8
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中