主戦場ペンシルベニアを制するのはトランプか、バイデンか
Inside the Fight for Pennsylvania
バイデン陣営は州内の選挙広告にも力を入れる。市場調査会社カンター/CMAGによると、4月から9月中旬にかけて、トランプ陣営の倍以上となる2700万ドルの広告費を投入した。9月中旬以降も、同州で流すテレビCMにトランプ陣営が1150万ドルをつぎ込んだのに対し、バイデン陣営も互角の1010万ドルを投じている。
「バイデン優勢」の世論調査には4年前よりも信憑性があるとみる専門家もいる。「(4年前は)州ごとの調査回答者の教育レベルを考慮していなかった。しかし教育の差が票の出方に関連すると分かった今回は、その点が改善されているはずだ」とディキンソン大学のオコネルは指摘する。
投票後に待つ訴訟合戦
どちらの陣営も、ペンシルベニアは絶対に落とせないと考えている。だから投票が終わっても、素直に結果を受け入れて引き下がるつもりはない。つまり、投票で負けたら訴訟で投票の有効性を争うということだ。
とりわけ注目されるのは、郵便による期日前投票の扱いをめぐる問題だ。今年は投票日に投票所へ出向いて新型コロナウイルスに感染するリスクを避けるため、郵便投票を選ぶ有権者がペンシルベニア州だけで300万人弱に達する見込みだ。
既に同州の最高裁は、所定の封筒を使っていない郵便投票の有効性確認を求めた民主党陣営の訴えを却下。一方で郵便投票の到着日に関する共和党陣営の訴えを退け、投票当日の消印があれば有効との裁定も下している。
ちなみに、ペンシルベニア州では9月段階で郵便投票の申請が240万件あり、そのうち66%が民主党支持者で、共和党支持者は24%にとどまっていた。
いずれにせよ、ペンシルベニア州の結果で全米レベルの勝敗が決するとすれば、そして大方の予想どおりペンシルベニアが大接戦となり、郵便投票の開票が終わるのを待たねばならないとすれば、投票日の晩に決着がつくことはない。投票日(11月3日)の消印が付いた郵便投票の開票が全て終わっても、そこから訴訟が始まる可能性が高い。そうなると20年前(フロリダ州での開票作業をめぐる訴訟で決着が12月半ばまでずれ込んだ)の二の舞いだ。オコネルに言わせれば、それこそ「考えたくもない大醜態」である。
<2020年10月27日号掲載>
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