韓国、新型コロナ対応で公務員からサムスンまで「ステイホーム試験」
ネット経由で「ステイホーム試験」を実施したサムスン電子の受験風景 YTN News / YouTube
<ドライブスルー検査などで注目された韓国が外出しなくてすむ就職試験を実施?>
新型コロナウイルスのパンデミックが世界を襲い、生活の中の常識ががらりと変わってしまった。各国で外出禁止や自粛が求められ、さまざまな行事が中止や延期となり、いまだに影響が出ている。
韓国では、今月13日に行われた公務員試験で、コロナ感染のために現在自宅隔離を余儀なくされている受験者のため、苦肉の策として自宅での受験許可が発表され波紋を呼んだ。
韓国人にとって公務員試験は人生を左右する一大事である。この試験を受けるために専門の塾へ通い、コシウォンと呼ばれるベッドと机しかないような狭い1人部屋にこもって勉強や準備に何年も費やし、浪人時代を過ごす人も多い。日本でも、公務員は安定した職業という意味で多くの人が就職を望むようだが、韓国ではその何倍も人気が高い。
日本の感覚とは違い、韓国ではたとえ名だたる大企業に就職できたとしても、一部の管理職を除いて40代後半で脱サラを考えざるを得ないという厳しい現実が待っている。韓国の街を歩くとチキン屋をよく目にするが、脱サラし退職金でフランチャイズの食堂を始める人が多く、チキン屋はその代表的な商売だと言われている。
そんななか、定年まで安心して働いて給料がもらえる職業として、公務員は高い人気を誇っている。今年は今月13日に8.9級地方公務員試験(日本の国家Ⅲ種・地方初級に相当)と、教育省公務員試験が同時に開催され、受験者は約30万人と過去最大規模の試験となった。
新型コロナで自宅隔離中の受験希望者どうする?
このように、今後の人生を大きく左右する試験なのだが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため、自宅隔離中の受験者への対応が注目されることとなった。韓国政府は10日、自宅隔離者へ急遽自宅での受験を許可すると発表した。試験日前日の12日午後6時までに申請すれば、監督官1~2人、看護人1人、警察1人を自宅に派遣し、監視の下試験を受けられるというのだ。
自宅での試験対応はまだしも、受験者1人に対してこの人数を派遣する対応は、日本の感覚からすると信じられないかもしれない。しかし、韓国では大学入試の日、英語のリスニングの音が聞こえないかもしれないという理由で飛行機の運行スケジュールを変更し、遅刻しそうな受験生を警察が白バイやパトカーに乗せて試験会場まで送り届けてくれる国である。
コロナに感染したからといって、自己責任や自己管理不足という言葉で片づけるわけではなく、何とか試験を受けさせようと周りも一緒になって努力するのが当たり前なのだ。
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