インドネシア、EEZ内の違法漁船めぐり中国海警と緊迫 強硬姿勢の裏に国内政治対策も
インドネシアの海軍艦艇が南シナ海の自国EEZで中国海警の艦船と対峙した KOMPASTV / YouTube
<南シナ海での実効支配を強める中国に対し、自国の経済水域を守るべく武力衝突寸前まで対抗したインドネシア。その狙いは──>
南シナ海の南端部に位置するインドネシアのナツナ諸島周辺海域で2019年12月から違法操業していた中国漁船とそれに同行していた中国海警局の艦艇が1月13日までに排他的経済水域(EEZ)外へ退去したことが確認された。
同海域では中国が一方的に主張する「九段線」と、国際海洋法に基づくインドネシアのEEZが一部重複しており、中国漁船がEEZ内に侵入して不法操業するケースが多発している。今回はインドネシアが海軍艦艇や空軍戦闘機、治安要員を増派して厳しい対応を続けた結果、最終的に退去に追い込んだ。
このような断固とした対応の背景には、2019年10月に誕生したジョコ・ウィドド大統領第2期政権の領土・領海問題に関してはたとえ相手が中国といえども決して妥協しないという強い姿勢がある。
インドネシア抗議に中国は海警増派
12月19日と24日、中国漁船約60隻とそれを警護する中国海警局の艦艇2隻がリアウ諸島州ナツナ諸島北部海域に広がるインドネシアのEEZに侵入し、違法操業をしているのが確認された。
インドネシア政府は直ちに駐インドネシア中国大使に抗議するとともに直ちにEEZ外への退去を求めたが事態が動くことはなかった。
このためジョコ・ウィドド政権は同海域に海軍艦艇8隻、空軍戦闘機4機、兵士や治安要員600人を増派、退去要求と警戒警備行動に着手した。
中国海警局の艦艇は最終的に6隻に増強され、それに守られる形で中国漁船は漁網を海中に展開して底引き網による漁獲を続けていたという。このため違法操業の中止を求めるインドネシア側との間で双方の艦艇が接近するなど緊張状態が続いていた。