最新記事

韓国社会

ソルリの死を無駄にはしない 韓国に拡がる悪質コメント禁止の動き

2019年11月19日(火)20時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

芸能人も法的対応へ

一方、コメントの被害を直接受ける芸能人たちも対応策をとり始めた。社団法人大韓歌手協会は、拐取に対する誹謗中傷への対応を発表。会長を務める歌手のイ・ジャヨンは「歌手を相手に悪意をもった攻撃から会員を守ることに全力をそそぐ。無分別な対応なポータルサイトに対しては全会員がボイコットを宣言するなど、全方位的な活動をする」と語り、協会内にカウンセリング窓口や被害通報センターを設置する計画も発表した。

悪質コメントを書き込んだ本人を訴追する動きも出ている。最近ではコメディアンのユ・サンムが、2016年5月に自身のニュースの書き込み欄へ誹謗中傷を書かれたと2名を訴え、各70万ウォン、30万ウォンの賠償金を勝ち取った。映画やドラマなどで活躍するベテラン女優キム・スミは、自身の息子の結婚の噂から始まり、過去の事実とは異なる噂話までもが書き込みされ、弁護士を通じ特にひどい中傷を書き込みをした人物について告訴する準備を始めたと発表した。

死を選ばず、対抗する姿勢を見せ始めた芸能人達。特に、今回のようにベテラン組からも告訴の声が上がるのは、芸能界全体にも良い風を吹き込んでいるように見える。

大人であっても心に傷を負ってしまう悪質書き込み。近年、低年齢化が進む芸能界で、10~20代の若者たちは自分への書き込みを簡単に目にしてしまい、闇に追い込まれて行ってしまう。これだけの自殺者が出ている今、「芸能人への誹謗中傷は有名税だ」などと言ってはいられない状態だ。

まだ何もわからない未成年の芸能人には、芸能事務所や周りの大人がサポートや声を上げやすく手助けをするなど、守っていくことが大事になってくるだろう。言論の自由との線引きはまだこれからも議論が続きそうだが、ひとまずはAIなどを活用して、ネット上に価値のないコメントなどが拡がるのを隠してしまうのが迅速かつ得策かもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中