マクドナルドも熱い視線送る「昆虫農場」 世界のタンパク質危機を救うか
タンパク質と脂肪が豊富
昆虫養殖事業者がミズアブの幼虫やミールワームを育てるのは、おとなしくて育てるのが容易であり、タンパク質と消化しやすい脂肪の含有率が高いからである。
ミールワームはほとんど水を使わずに育てることができ、複数の研究によれば、家畜への投与に適さない穀物でも、有毒成分を取り込むことなく消費することによって、その栄養素を「救出」することができるという。さらに、ミズアブの幼虫はカルシウムと鉄の含有率が高く、さまざまな食品廃棄物を餌にして育てることができる。
一部の国で人間用の食べ物としても愛好されているコオロギは、これとは対照的に偏食である。鳴き声もうるさく、逃げ出した場合に近隣の作物に損害を与える可能性もある。
エンテッラでは、事業を拡張してカルガリーに第2の商業規模となるプラントを来年中に建設する予定であり、カルガリーに本拠を置くアブリオ・キャピタルおよび英ウィート・シーフ(Wheat Sheaf)からの出資を得て、北米の他都市でも、今後5年間、同様の施設を毎年開設することを目標としている。
オランダ企業のプロティックスは2017年、ミズアブ幼虫養殖に向けて最初の商業プラントをオランダに建設した。今年後半には、ビューラーから5000万ドルの出資を得て、やはりオランダに第2の施設を着工する予定だ。同社は、水産養殖事業者と提携しており、魚粉の代わりに昆虫由来の成分を含む飼料で育てた「フレンドリー(生態系に優しい)・サーモン」というブランドを立ち上げている。
プロティックスのキース・アーツCEOは、「欧州で成功を収められれば、これがグローバルなソリューションになるだろう」と語る。
エンテッラもプロティックスも、テクノロジーは企業秘密であるとして、生産コストや生産量に関する情報を開示していない。だが両社とも、昆虫飼料の価格は、魚粉などの競合飼料と対等か、わずかに高い程度だとしている。
米オハイオ州を本拠としてミズアブ幼虫を養殖するエンバイロフライトは今年後半、シンシナティの近くに、商業規模としては米国初となる昆虫飼料生産プラントを着工する予定だ。