アメリカの橋は本当に危険? インフラ「劣化説」を検証した
米国の橋梁問題の現実をよりよく反映しているのは、州間高速270号線がセントルイス郊外でフィーフィー・クリークを渡る地点だろう。
米運輸省の2017年版全国橋梁要覧をロイターが分析したところ、この橋を通過するのは1日約22万3000台で、米国で最も交通量の多い橋の1つである。この要覧は、国内の高速道路に架かる全長約約6メートル以上の橋梁61万5000カ所を網羅している。
ミズーリ州政府は、このフィーフィー・クリーク橋には構造的な問題があると考えており、改修費用として500万ドルを計上している。
橋梁の末端部分を支える構造の内部及び周囲に劣化が生じているのが問題だと、ミズーリ州の運輸局技官デニス・ヘックマン氏は指摘する。改修を必要とする橋梁では崩壊のリスクも高くなるが、必ずしもすぐに危険があるとは考えられていない。
ミズーリ州内には、2017年版要覧によれば、1日20万台以上の交通量があり、構造的問題を抱えているとされる橋梁が4カ所ある。「危険な段階にあれば通行止めになる」とヘックマン氏は言う。
実際には、州政府や地方自治体はたえず幹線道路や橋梁の改修を行っている。連邦政府による拠出を合わせると、2012年の橋梁改修支出は164億ドルに達していると、幹線道路への好況投資に関する米連邦道路管理局(FHWA)の最新報告書は示している。
米連邦議会予算局による2015年の報告書によれば、輸送・水道インフラ向け公共投資は、インフレ調整後の数値で見ると、米当局が金融危機後を受けた大不況対策を打つ中で、2009年と2010年にやや増大したが、その後4年間は減少している。
橋梁に関しては、ちょうどインフレ率に見合う程度に投資をやや増加させていけば、改修を必要とする橋梁の比率は2032年までに約3分の2に低下するだろう、とFHWAは昨年の報告書で述べている。
道路や橋梁の保守・拡充のためには、年間約370億ドルの予算を追加すれば十分だとFHWAは指摘している。
(翻訳:エァクレーレン)
[ワシントン 31日 ロイター]
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