「MeToo」賛同で黒づくめの英アカデミー、キャサリン妃の苦渋の決断
キャサリン妃が何色のドレスを着るかに注目が集まった Chris Jackson-REUTERS
<セクシャル・ハラスメントと戦い、被害女性支援に連帯を示すために、出席者のほとんどが黒服を着た英国アカデミー賞。「王室プロトコル」では、黒は着用できないキャサリン妃が何色のドレスを着るかに注目が集まった>
米ゴールデン・グローブにならい黒で連帯
第71回英国アカデミー賞(BAFTA)が2月18日、発表された。英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた授賞式には、出席者のほとんどが黒の服を着て集まった。
これは、1月に米国で行われたゴールデン・グローブ賞で、「タイムズ・アップ」運動に連帯を示すために出席者が黒を着用した動きを受けたものだ。「タイムズ・アップ」とは、今年1月にハリウッドの著名人300人以上によって立ち上げられた、セクシャル・ハラスメントと戦い、被害女性を支援するための組織だ。タイム誌によると、#MeToo運動の次のステップとされている。#MeToo(私も)は、主にソーシャル・ネットワーク上で展開している、セクハラ被害を告発したり被害者に共感したりする動きだ。
英紙エクスプレスによると、BAFTAでも、ゴールデン・グローブ賞授賞式に倣って出席者は黒を着用してくるように事前にリクエストが出ていたという。そしてこの記事の中では、キャサリン妃が黒を着用するか否かは、予測がつかないと述べられていた。というのも、英国王室は政治的に中立でなくてはならず、「王室プロトコル」に従うならば、このような動きに賛同を示す黒は着用できないからだ。さらに、王室の伝統として、葬儀や戦没者記念日(11月11日)以外は黒を着用しないことになっている。
黒づくめの中、キャサリン妃は
BAFTAの当日は、英国の女優のみならずアンジェリーナ・ジョリーやジェニファー・ローレンス、サルマ・ハエックなどのハリウッド女優たちも、黒のドレスを着用して現れた。男性の出席者は「タイムズ・アップ」と書かれたピンバッチを襟に付けた。さらに、授賞式は女優のジョアンナ・ラムレイが司会を務め、2001年以来初の女性司会者となった。
また英紙ガーディアンによると、出席者の中には、恋人や配偶者などを同伴する代わりに、女性の地位向上に取り組む活動家を連れてきた人たちもおり、BAFTAは「セクハラ撲滅」のみならず、「男女平等」を求める声を上げる場ともなった。さらに英紙テレグラフなどによると、会場では「タイムズ・アップ、テリーザ」と書かれた黒のTシャツを着た集団が抗議活動を行なった。英国政府が現在審議している「ドメスティック・バイオレンスおよび虐待法案」の内容が不十分だとする女性活動家たちだった。「テリーザ」とは当然ながら、テリーザ・メイ首相だ。
こうした雰囲気の中、キャサリン妃が何色のドレスを着て来るかに注目が集まったが、現れたキャサリン妃は、濃い緑色のドレスに身を包んでいた。英国人デザイナー、ジェニー・パッカムが手がけたもので、光の当たり具合によっては黒に見えなくもないほどかなり濃い緑色だ。ウェストには黒いリボンを結び、これに合わせて黒のハイヒールとクラッチバッグを身につけていた。