中国にもある厚い「ガラスの天井」 党中央政治局は女性1人
10月25日、中国で政治エリートへの起用が恒常的に進まないグループが1つある。それは女性だ。写真はいる孫春蘭・党中央政治局委員。2016年11月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)
中国共産党が、北京で24日閉幕した党大会のような大規模集会を開く際には、「人民の代表」という自らのイメージを演出する狙いもあって、出席する代表者リストは常に注意深く選定される。
下働き的な立場の人や、少数民族に光があてられることもあるが、政治エリートへの起用が恒常的に進まないグループが1つある。それは女性だ。
中国建国の父である毛沢東氏は、かつて女性が「天の半分を支える」と語ったかもしれない。だが5年に1度の党大会で新指導部が選ばれてみると、女性が支える部分はほとんど何もなかった。
党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会には男性7人が選ばれたが、女性は誰ひとり選ばれなかった。これまで女性が起用された例は過去1度もない。
中央政治局の新たな委員25人のうち、女性は外部との連携を担当する部門を率いる孫春蘭氏のみだ。孫氏は2期目の選出となり、5年後に引退するとみられている。これまで中央政治局には孫氏のほかに劉延東副首相がいて女性2人の体制だったが、定年を迎えた劉氏は、今回同局から退任した。
その下に位置する任期5年の党中央委員会では、新たな委員204人のうち女性は10人、割合にして4.9%に過ぎない。これまでと同じ割合だが、女性が13人いた2007年─2012年期からは減少している。
党幹部になぜ女性がこれほど少ないのか、党の広報部門も兼ねる中国国務院情報部にファクスで質問したが、回答はなかった。
参考までに、トランプ米政権の閣僚24人のうち女性は5人で、米連邦議会の女性議員の割合は約20%。日本の閣僚20人のうち女性は2人で、22日の総選挙で選出された衆議院議員の10%程度が女性だった。
宇宙飛行士と家政婦
共産党大会の出席者全体では、女性の割合はもっと高い。代表者2287人の約4分の1だ。この割合は、約9000万人いる党員全体においてもほぼ同じだ。
だが、指導部ポストがほぼ男性に握られている現状では、党大会に出席した女性代表のほとんどは「お飾り」に過ぎないと、フェミニストのソーシャルメディアサイトを展開するNGO管理者のXiong Jing氏は語る。
「これは手垢のついた問題だ。今のような政治システムでは、党大会代表や政府内でもっと多くの女性が参加したとしても、できることは限られるかもしれない」と、Xiong氏は指摘する。