中国にもある厚い「ガラスの天井」 党中央政治局は女性1人
共産党は、一部のグループについては、代表者がいるように体裁を整えることを重視している。
党大会や年1回の全国人民代表大会には、56の中国少数民族や、全支部の軍や警察、民間企業、国営企業、そしてもちろん政府の代表者が集められる。
今回の党大会には、宇宙飛行士やスポーツ選手、俳優、裁判官、農家などの代表者が参加した。エプロンとメイド帽姿で出席した家政婦の代表者さえいた。
人民の党
一般的に中国では女性の政治参加が遅れている。
世界経済フォーラムの2016年男女格差報告では、女性の政治参加において、中国は144カ国中74位だった。2006年には、115カ国中52位だった。
ニューヨーク在住の社会学者で、中国女性の地位問題についての著書もあるリタ・ホン・フィンチャー氏は、伝統的な男女観が復活する中国では、女性の地位が後退していると指摘。
「共産党は根本的に、上級レベルへの女性登用にまったく無関心な印象がある」と、フィンチャー氏は言う。
中国で改革開放政策が取られる以前、毛沢東時代の計画経済では、女性は労働力に組み入れられ、国づくりの一翼を担った。
1949年に共産党政権が誕生して以降、最も権力があった女性は、毛氏の妻の江青氏だ。1976年に毛氏が死ぬと、江青氏はともに権勢を振るった党中央政治局の「4人組」と一緒に逮捕され、文化大革命の行き過ぎた混乱の責任を問われた。
最近では、高齢化と労働力人口や出生率の減少などの人口問題を脅威に感じた共産党は、女性は結婚して子供を産むべきとの考えをさかんに宣伝している、とフィンチャー氏は語る。
もちろん、中国のビジネス界には著名な女性経営者もいる。不動産開発大手のSOHO中国<0410.HK>の張欣氏や、スマートフォン向けレンズ大手の藍思科技(レンズ・テクノロジー)<399433.SZ>を創立し富豪となった周群飛氏などだ。
また党や政府も、男女平等の建前を賞賛している。憲法は、男女同権を保証している。
「政府は、男女平等の問題を真剣にとらえているように見せたがっているが、現実はそうではない。男女同権から完全に撤退しているのが実情だ」と、フィンチャー氏は言う。
党大会に出席する代表者の選挙過程は厳しい管理下にあり、候補者は党や指導部への忠誠を前もって試される。
だが、代表者の1人で深海研究用の潜水艇乗組員Tang Jialing氏は、女性がいないのは民意の反映ではないかと話す。
「われわれは、人民の党だ。男性より女性を多く選出したのも人民だ。人民の選択だ」と、彼は言った。
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[北京 25日 ロイター]
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