最新記事

朝鮮半島

韓国・文大統領、北朝鮮の脅威をテコに念願の原潜建造?

2017年8月10日(木)20時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


■原子力潜水艦の建造について SBS / YouTube

盧武鉉政府下の2003年には、軍は原子力潜水艦3隻の建造を目指し、"362事業団"と呼ばれる極秘プロジェクトチームを結成していた。362事業団は、中核となる技術の潜水艦用原子炉の基本設計まで終えたが、その活動がメディアに知られ発足から1年で解体され、それ以来原子力潜水艦の建造は封印された。

だが今や状況は変わった。当時362事業団長だったムン・グンシクは「今、北朝鮮は核ミサイルを開発し頻繁に挑発してきており、私たちの安全保障だけでなく、米国にも脅威となっている。必ず原子力潜水艦を建造する必要がある」と語っている。

また文政権の国防長官となったソン・ヨウンは362事業団が活動していた当時、海軍の戦力を統括する企画参謀部長だった人物だ。実際、就任前の6月28日に行われた候補者に対する人事聴聞会でも原子力潜水艦の導入の必要性を語っており、就任後の7月31日国会で開かれた国防委員会全体会議でも「原子力潜水艦の導入を検討する準備ができている」と述べている。

【関連記事】文在寅は「反日」「親北」なのか
【関連記事】北朝鮮は戦争をしたいのか?したくないのか?

このソン国防部長官の発言は、文の大統領選挙時の選挙公約とも一致している。文は4月に行われた討論会で原子力潜水艦の導入の必要性を問う質問に「核を燃料として使用する潜水艦は、韓米原子力協定に違反していない。今、原子力潜水艦は、私たちに必要な時代になった」と強調している。また当時の文は、大統領になれば韓米原子力協定を改正し、原子力潜水艦を建造すると明らかにしていた。

ここで問題になるのがアメリカ側の同意だ。原子力潜水艦は、少なくとも20%の濃縮ウランが使用されるが、これを第三国から輸入したとしても、米韓原子力協定によって米国の同意がなければ、軍事用として使用することができないからだ。このため、7日の電話会談で文が原子力潜水艦建造についてトランプへ理解を求めたのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ASEANと貿易協力強化の用意 議長国マレー

ビジネス

旭化成、27年度までの3年間で1兆円投資 ヘルスケ

ワールド

米議事襲撃事件、FBI関与疑惑を調査=情報機関高官

ビジネス

メキシコCPI、3月は+3.80% 0.5%の追加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた考古学者が「証拠」とみなす「見事な遺物」とは?
  • 4
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」は…
  • 5
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 6
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中