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銃犯罪

【写真特集】銃撃の被害者、それぞれの物語

2017年7月5日(水)18時40分
Photographs by Kathy Shorr

<Megan Hobson>停車中にAK47自動小銃で一斉射撃を受け、子供を守ろうと上に覆いかぶさった彼女は骨盤を撃ち抜かれた。今も足を引きずって歩くなど後遺症は残っているが、犯人の動機はギャング 団加入のための「儀式」だったとみられる

<銃撃事件による被害者の、心と体の傷に光があてられる機会は少ない>

「傷跡は物語。除去する手術を受けたいと冗談で言ったこともあるけれど、私がいま生きていることが奇跡だし、傷跡はその事実を物語ってくれる。」――Megan Hobson(冒頭写真の女性)

写真集『SHOT』は銃撃を生き延びた者たちの物語。キャシー・ショアは2013~15年にかけて、全米101人の銃撃被害者の撮影を行った。

被害者の人種や民族は多様で、バックグラウンドも軍人や元ギャング、歌手、銀行幹部、さらには8歳の小学生までと幅広い。全米ライフル協会(NRA)のメンバーで、自らの銃のおかげで一命を取り留めた者もいる。

撮影場所の多くは、彼らが実際に銃撃を受けた場所だ。車の中や自宅、教会、公共交通機関の中など、日常的な場所ばかりで、普通の人たちであってもいつどこで被害に遭うか分からないという現実を物語っている。

【参考記事】<写真特集>女性限定、銃の使い方教えます

ショアが被写体として銃撃の被害者を選んだ理由はいくつかある。高校教師として働いていたとき、銃で殺された家族や友人の写真を持ち歩く生徒を何人も目にしたことも理由の1つだ。

だが銃による暴力を受けた負傷者が、顧みられる機会は少ない。傷が目立たなくなったり服の下に隠れていたりすれば、彼らの心と体の傷は見過ごされやすくなる。銃所持をめぐる議論において、やはり「犠牲者」である彼らの痛みに光が当たることがショアの願いだ。

Photographs from "SHOT...101 Survivors of Gun Violence in America" (powerHouse Books) by Kathy Shorr


「死がもたらす痛みじゃない。生きることが痛みをもたらすんだ。」

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<Phillip Gouaux>義理の息子が銃を乱射し、彼は喉を撃たれた。この事件で彼の妻は命を奪われ、娘の1人は重傷を負った。結局、3人を殺害して3人を負傷させた義理の息子は自殺した


「1分もあれば十分、人生なんて完全に変わってしまう。当たり前だと思っていたことも1秒後には全く別の姿に変わってしまう。」

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<Dayna Roscoe>陸軍軍曹の彼女は、フォートフッド陸軍基地での銃乱射事件で負傷した32人のうちの1人(死者13人)。テーブルの陰に隠れているところを見つかり、3発の銃弾を受けた


「自分が撃たれるなんて、そのせいで車椅子生活になってしまうなんて考えたこともなかった。そういうことはどこか別の場所の、別の人に起こると思い込んでいた。考えられないような現実が起きたあの日までは。」

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<Mariam Pare>運転中の車を赤信号で停車させたとき、首に銃撃を受けて四肢に麻痺が残った。口や足で絵を描く団体に加盟した彼女は、芸術には試練を乗り越える力があると信じている

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