ボケたくなければ、片づけは自分でしなさい
もうひとつ著者が強調しているのが、「自分で片づける」ことの大切さ。著者のセミナーを受講した人の多くも、このことを口にするという。
これは社会問題となっている実家の片づけにおいて、とくに重要になる点だ。高齢の親は、認知機能が低下して片づけられなくなっても、その環境に慣れてしまい、あまり不都合を感じないことが多いという。そこへ、いきなり子供がやって来て、勝手に片づけてしまうことがあるのだ。
片づけが得意な人(片づけないと気が済まないタイプの人)は、ついつい他人のものを片づけてしまうことがある。しかし著者によれば、たとえ家族であっても、それはNG。まして勝手にものを捨ててしまうなど、絶対にやってはいけないことだという。
「自分以外の人のものは、勝手に片づけない」、これが片づけの大原則だ。それは、自分で選ぶことが何よりも大切だから。自分で選ぶことで、ものではなく自分自身が片づけの「主人公」になれる。
本書には、著者のセミナーを受講して、自分で片づけられるようになった人たちのエピソードも多く収録されている。片づけられないという一見ささいな悩みが、いかに家族の仲や生活の質を左右していたか、また、精神面にも大きな影響を与えていたかに驚かされる。
片づけられるようになったことで、家だけでなく性格も変わり、家族のコミュニケーションが変わり、時には人生の転換点になったという例もあった。それほどまでに、片づけの悩みは深い。
「たかが片づけ」と侮ることなかれ。
【参考記事】東大生に育てたいなら、子供を「他人」と思いなさい
『ボケない片づけ 一生自分で片づけられる5つのステップ』
高橋和子 著
CCCメディアハウス
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