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経営不振のバスケチームを人気No.1にした勝因とは?

2016年10月20日(木)18時24分
WORKSIGHT

 とはいえ、マイナーで観客も少ないバスケットというスポーツに、何百万円、何千万円とお金を出してくれる企業はそうそうありません。特に千葉県には野球やサッカーの球団もあって**、どこもうちより集客力は圧倒的に高い。そこと戦ってスポンサーを獲得しなきゃいけないわけです。

 そこで武器となったのが、私が社長を引き受ける前からジェッツが行っていた地域活動でした。地域のイベントやお祭りなどに選手がこまめに顔を出して、地域の皆さんと交流していたんです。***

 野球やサッカーのようなメジャースポーツは地域のお祭りにまで選手が来ることはほとんどありません。その点、我々は言ってみればAKB48と同じ(笑)。手の届く背の高いお兄ちゃんとして、身近で親しみが持てる存在になれるように活動してきたことが、地域への貢献として評価されたように思います。

県のスポーツ施策に合致した球団であることを自治体に訴求

 ただ、ここで間違えてはいけないのは地道な活動が人気に直結したわけではないということです。お祭りでジェッツの選手と会っただけで、わざわざチケットを買って試合を観に来る方はそういないでしょう。だから、ただ地域の催しに参加するだけでは成果は得にくいわけです。

 しかし一方で、千葉は県としてスポーツを通じた青少年育成や地域創成に積極的に取り組んでいます。ジェッツの活動は草の根活動で子どもたちに触れ合う機会も多いですし、これほど県の理念に合致している球団は他にないと自治体に訴求しました。その結果が、例えば船橋市や千葉市との連携**** といった大きな支援につながったのだと思います。その大きな力のおかげで地元で認知が広がって、観客やスポンサーの増加という恩恵が得られているわけです。

 いくら地道な地域活動を続けても、大きな力を引き出すファクターに変えていかない限り結果にはつながりません。汗をかいたものを"商品"に変えていったところが我々の活動の特徴かなと思っています。

 そうやってスポンサーを見つけて資金を得られるようになってから、優秀な選手を獲得したりスタッフを増やしたりできるようになり、さらに地域活動やボランティアへのケアもより丁寧にできるようになっていきました。再建に勢いがついて、今はそれぞれのステークホルダーに対して包括的なケアができる体制も整ってきました。

【参考記事】再録:マイケル・ジョーダンは私を抱きしめて言った

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