最新記事

インタビュー

【再録】ウィル・アイ・アム「犯罪と暴力を歌ったことがないのが誇り」

多方面で活躍するヒップホップ界の大物Will.i.amが語った「音楽とマイケルと政治とテクノロジー」(2011年取材より)

2016年4月1日(金)15時35分
ロレーン・アリ(音楽ジャーナリスト)

音楽も政治もテクノロジーも 人気ヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ」メンバーであり、ソロでも活躍するウィル・アイ・アム(Will.i.am)。スーパーボウルのハーフタイムショーを控えた2011年初頭にインタビューした。ウィル・アイ・アムは政治やテクノロジーへの関心も高い(2015年撮影) Steve Marcus-REUTERS


ニューズウィーク日本版 創刊30周年 ウェブ特別企画
1986年に創刊した「ニューズウィーク日本版」はこれまで、政治、経済から映画、アート、スポーツまで、さまざまな人物に話を聞いてきました。このたび創刊30周年の特別企画として、過去に掲載したインタビュー記事の中から厳選した8本を再録します(貴重な取材を勝ち取った記者の回顧録もいくつか掲載)。 ※記事中の肩書はすべて当時のもの。

[インタビューの初出: 2011年1月19日号]

 2月に行われる全米最大のスポーツイベント、NFL(全米プロフットボールリーグ)スーパーボウルのハーフタイムショーに乗り込む、ヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ」。ソロでも活躍の場を広げるメンバーのウィル・アイ・アム(35)に、音楽ジャーナリストのロレーン・アリが聞いた。

◇ ◇ ◇

――米大統領就任記念ライブ、サッカーのワールドカップ開幕コンサートときて、ついにスーパーボウルだ。

 スーパーボウルは格が違う。国民の祝日だ! それにうちの家族はフットボールの大ファンなんだ。おじがロサンゼルス・ラムズ(現セントルイス・ラムズ)でプレーしていた。ついに家族の中からスーパーボウルの「出場者」が出るわけさ。

──自分をセレブだと思う?

 頼むから俺のことをそう呼ばないでくれ(笑)。最近のセレブの大半は、セレブの名に値することをしていない。それだけでも俺はセレブになりたくない。音楽に情熱を傾けている1人の男で、俺の曲にみんなが引き寄せられる、それでいい。

――あなたは超大物のプロデュースも数多く手掛けている。ボノみたいな人に、「音程が外れている」とか言える?

 スタジオに入る前はパニックだ。「M・J(マイケル・ジャクソン)とアイルランドで1週間も一緒なんて!」。でも、いざとなったら責任を持ってやる。謙虚さも必要だ。「俺の力を借りたいんだろう?」なんて付け上がってはダメだ。

【参考記事】訃報、マイケル・ジャクソン
【参考記事】神になったマイケル・ジャクソン

――あなたがマイケル・ジャクソンと手掛けた曲は、先日発売されたマイケルのアルバムに収録されていない。機会があればリリースしたいか。

 彼と3年間やって、発表したのは『スリラー25周年記念リミテッド・エディション』のリミックスだけ。一緒に録音したほかの曲は、もう出すべきじゃない。彼の賛成なしで出すのは良くない。彼は完璧主義だった。

――ブラック・アイド・ピーズの新しいアルバムは『ザ・ビギニング』。前作は『ジ・エンド』。順番が逆では?

 終わりがあれば、必ず新しい始まりがある。

――何が終わったのか。

 レコード産業の在り方すべて。今はまったく新しいテクノロジーの時代が始まっている。

【参考記事】NY音楽シーンの熱気を伝える、撮影者と被写体の信頼感

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック上昇、トランプ関税

ワールド

USTR、一部の国に対する一律関税案策定 20%下

ビジネス

米自動車販売、第1四半期は増加 トランプ関税控えS

ビジネス

NY外為市場=円が上昇、米「相互関税」への警戒で安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中