カーニバルや五輪控えたリオデジャネイロ、ジカ熱制圧に総力戦へ
一方、医師や保健当局者らは、防蚊対策に市民を関わらせることが課題だと話す。
中南米全体に見られる不十分な開発と大きな格差が都市部での流行に大きく寄与したことは間違いないが、一部の住民は基本的な保健や教育など公的サービスをしばしば提供できない行政に対し否定的であったり、反感を抱いたりしている。
リオでは、保健当局者は犯罪や安全上のリスクから、居住区に入れないことすらある。
「市や国が言わねばならないことに、多くの人は聞く耳を持たない。保健従事者が部外者とみなされた場合、人々に協力させるのは難しい」と、政府系機関であるオズワルド・クルーズ財団のエルマノ・カストロ氏は語る。
過去に行われたネッタイシマカ駆除対策は失敗に終わった。この蚊は黄熱病やデング熱、チクングンヤ熱など他の熱帯病も媒介することで知られている。
当局は停滞水の危険性について住民に知ってもらおうと努力しているものの、デング熱感染は過去数年で悪化している。リオでは昨年、感染例は前年比10倍増となり、少なくとも22人の死亡が確認されている。
ジカ熱流行は、オフショア油田からのロイヤルティが急減し、困窮するリオデジャネイロ州政府が病院や研究施設の閉鎖を余儀なくされていた時期と重なった。
「デング熱も制御できていないのに、今度はジカ熱とも闘わねばならない」と語るのは、リオで有名な小児科医ダニエル・ベッカー氏。他の多くの医師同様に同氏も、小頭症への不安が、ブラジルでは違法である中絶の急増につながることを危惧している。
(Paulo Prada記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)