カーニバルや五輪控えたリオデジャネイロ、ジカ熱制圧に総力戦へ
暖かくなる時期に米国でも流行するのではないかと予想されるなか、同国の保健当局はジカ熱感染と小頭症の関連性についての研究を一段と強化している。
一方、ブラジルの旅行代理店やホテルの経営者は、政府の注意事項に関する問い合わせは多いが、今のところまだキャンセルはそれほど多くはないと語る。
政府筋がロイターに語ったところによると、ブラジル政府はソーシャルメディアや旅行代理店を通じて、ジカ熱や政府の対策を知らせる国際的なキャンペーンを行い、五輪へのいかなる影響をも避けるべく準備しているという。
この数日に行われていたカーニバルに向けた事前イベントは多くの人を魅了し、防虫剤と共にビールや汗などの匂いが立ち込めた。
ジカウイルスを媒介するネッタイシマカは順応性があるため、同ウイルスは今後も急速に拡散されるとみられる。
ネッタイシマカはリオ市内や他の熱帯地方の都市によくある水たまりなどで発生、成長する。無秩序で計画性のない地区では、雨水や下水溝、ごみなどが格好の生息場所となっている。
「増殖するには完璧な環境だ」と、ジカ熱感染の急速な拡大を予想した論文を発表していた加トロント総合病院の熱帯感染症専門家、アイザック・ボゴフ氏は語る。
住民の協力
ジカウイルスは、ウガンダで1947年に初めて確認された。それ以来、流行は限定的で、過去10年で最新の流行は太平洋諸島においてだった。ブラジルへは、同国が2014年にサッカーのワールドカップ(W杯)を開催した際に旅行者によって持ち込まれたものと考えられている。
したがって、ジカ熱についてはほとんど知られておらず、小頭症との関連も太平洋諸島での流行まで仮説は立てられていなかった。
関連性をめぐる検証はようやく昨年になって開始され、ブラジル北東部で小頭症の子供の母親から羊膜のサンプルが採取された。
現在、ジカ熱感染の疑いのある患者から直ちにウイルスを検知できる検査や、さらに重要であるワクチンを開発すべく、急ぎ研究が進められている。ただし、ワクチン開発には何年もかかるとみられている。