韓国教科書論争は終わらず
文は金がセヌリ党でやっているように、来年の総選挙に向けて党内を結束させる必要がある。その結果が、17年に文自身が大統領選に出馬したとき影響を与える可能性が高い。
このため文は、教科書国定化に対する世論の反発をテコに、新政治民主連合と左派全体の足並みをそろえる努力をしてきた。正義党の沈相奵(シム・サンジョン)代表や、新政治民主連合を離党した千正培(チョン・ジョンべ)議員と共同戦線を張るポーズも取った。安哲秀(アン・チョルス)議員ら新政治民主連合内の対立勢力も、国家的論争のために、当面は文への批判を控えている。
教科書問題は、左派が穏健な有権者の支持を取り込むチャンスにもなった。世論調査によると、穏健な有権者はおおむね教科書の国定化に反対だ。これは来年の総選挙で、大邱など保守派の牙城とされる地域で、新政治民主連合が議席を初めて獲得する要因になるかもしれない。
気掛かりなのは、選挙や政争は別として、現代史の解釈が今も(そしておそらくこれからも)韓国社会を大きく分断する要因であることだ。韓国では冷戦が永遠に続いている。政治家も国民もその議論に熱中するあまり、社会や経済をむしばむ真の問題が放置される恐れがある。
From thediplomat.com
[2015年11月17日号掲載]