日中韓首脳会談――中国こそ「歴史直視」を
共闘体制? 李克強(右)と朴槿恵(中央)は歴史問題でJung Yeon-je-REUTERS
3年半ぶりの日中韓首脳会談は、開催されたのはいいものの、開催されなかった原因と同じく、中韓からの「歴史直視」要求に終始した。しかし歴史を直視すべきは中国自身であることを中国は知らなければならない。
李克強首相の韓国『朝鮮日報』への寄稿
10月31日に中韓首脳会談を行うに当たって、その前日の30日、中国の李克強首相は韓国の新聞『朝鮮日報』に署名入りの原稿を掲載した。概要を以下に記す。
――中韓の友好関係はますます友情深く発展してきた。貿易額も20年前の60倍になり、貿易額は3000億ドルに達している。また観光など、人的交流は毎年1000万人に及び、毎週1000便以上の航空が中韓の間を行き来している。中韓両国は戦略的に協力しながら発展していくことを強化していかなければならない。中韓両国は歴史の大河の中で、命運を共にし、栄辱を共にしてきた。中国は韓国と共に、共同で歴史を銘記していきたい。
おおむね、このような内容だが、「歴史の栄辱を共にし」と「共同で歴史を銘記し」が、日本を指していることは、説明するまでもないだろう。訪韓前に、すでに「対日共闘」のメッセージが発せられていたのだ。
「対日共闘」は、10月28日にソウルに設置された韓国人と中国人の慰安婦を象徴する「少女像2体」によっても象徴されている。
この少女像に関するメールが、盛んにサンフランシスコから筆者の受信ボックスに送られてきているのは、2年後のユネスコの世界記憶遺産登録への共同申請を全世界に呼びかけていることの何よりの証拠だろう。日中だけでなく、国際社会全体に呼びかけて、何としても次のユネスコ世界記憶遺産登録を睨んでいる。もちろん、日本の「戦争犯罪」を世界の共通認識にして、日米関係を強化しているアメリカを弱体化させて、中国が世界ナンバーワンに上り詰めるための長期的戦略だ。
中韓首脳会談
10月31日にソウルを訪れた李克強首相は、韓国の朴槿恵大統領と、大統領府で会談した。中韓首脳会談は、双方のとろけんばかりの満面の笑みの中で、華やかに行なわれた。
CCTVの解説は、「領土問題、歴史問題、そして最近は戦争問題などで日中韓3か国首脳会談は途切れており、そもそも日本を交えた会談には、何ら期待すべきものはないが、それでも開かないよりはいいだろう」という前置きをしてから、中韓首脳会談の素晴らしさを讃えた。