中国毒食品の深すぎる闇
毒入りギョーザ事件の容疑者が拘束されても解決しないメード・イン・チャイナの構造的有毒度
ギョーザは氷山の一角 2年前、日本で10人が中毒を起こした冷凍ギョーザを製造した天洋食品の工場で安全性を説明する社員(08年2月) Claro Cortes IV-Reuters
北京から車で東へ約1時間半、天津市の開発区を抜けたところにその村はある。
天津市北辰区青光鎮青光村。人口約1万人のこの村では、今年5月に天津市当局の摘発を受けるまで多くの家の軒先にニセ酒用の空き瓶が堂々と並べられていた。
先週、本誌記者が訪れたときは目立ったところに空き瓶はなく、一見ニセ酒の密造をやめたようにみえた。
だが青光村で出会った郭(クオ)という名の中年男によれば、村の家々の奥で、酒瓶に粗悪酒を注ぐ作業が相変わらず続いている。
傑克丹尼(ジャックダニエル)、芝華士(シーバス・リーガル)、百威(バドワイザー)......。「洋酒の空き瓶ならなんでも買う」と、郭は言う。天津など都市部のバーから空き瓶を回してもらい、それに粗悪酒を注いでバーに約30元(500円)で売り、バーが再び正規の洋酒の値段(約6000円)で売るのが彼らの手口だ。
青光村のニセ酒を飲んだ人はまだ運がいいほうだろう。山西省朔州市では、98年にメチルアルコール入りのニセ酒を飲んだ27人が死亡。広州市でも04年に11人が死亡する事件があった。
中国国外なら安心ともかぎらない。「売っているのはすべてニセ酒」といわれる北京市豊台区の安売り市場で、東北地方出身の店主は「日本の業者が買いつけに来たこともある」と、横浜の中華街の業者が残していった名刺を机の引き出しから取り出した。