イギリス、古着を一堂に集めたクールなポップアップストアが人気 CO2削減し売上は慈善活動へ寄付
「古着の循環」をさらに加速させたい
チャリティースーパーマーケットの環境面での貢献は大きい。同サイトでは、昨年実施したポップアップストアでの売り上げやCO2削減量を公開している。
第1回目のブレントクロスショッピングセンターでのポップアップストアの成果は、ごみとして処分される約11トンの古着、約102トンのCO2量、約18,000立方メートル(小学校の25メートルプールで約45杯分)の水を削減したり節約した計算になる。このような成果は、毎回のポップアップストアでも報告されている。
人気の古着交換イベントを業界関係者も主催
イギリスでは古着交換会も人気だ。たとえば、イギリス中部のノッティンガムでは、「ザ・ビッグ・スワップ」が継続的に古着交換イベントを開催し、好評を博している。参加費10~15ポンド(約1800~2800円)を払い、古着(服や靴など。ナイトウェアや下着、宝石類は不可)10点を事前に持ち込み、その後、集められたすべての古着の中から10点を選んで持ち帰れるという仕組みだ。余った古着は慈善団体が運営するチャリティー・ショップに寄付される。
またこうした古着交換はファッション業界関係者にも飛び火している。昨年2月には、ファッションチェーンのザラとコラボもしている著名トップスタイリストのハリー・ランバート氏、サステナブルファッションのインフルエンサー、ボディ・ポジティブの提唱者の3人が立ち上げた1日限りの古着交換イベント「アブソルート・スワップ・ショップ」がロンドンで開催された。
イギリスでは、年間繊維廃棄物は1人当たり3.1 kgだという。このうち、古着としてリユースされるのは0.4 kg、リサイクルして他の原材料にするのは 0.3 kgのみ。残りの0.8kgは焼却され、1.7kgは埋め立て処分されている(Circular)。
イギリスには、ヴィンテージ品や古着を新しいデザインに作り直したアップサイクル品を販売する店もたくさんある。中古ファッションのオンラインショップも増えている。様々な方法での古着の循環は、焼却されたり埋め立てられる衣類の割合を大幅に減らすことになるのか、今後の行方に注目したい。
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com