「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新技術でこんなに変わった「考古学」の現場風景
The Past Is Closer Now
考古学者と話すと、「でも、どうやって?」と尋ねたくなる。例えば、ある人が人生のさまざまな段階で何を食べていたのかも分かると、考古学者から聞かされれば、こう言いたくなるだろう──「どうしてそんなことが分かるの?」
この場合は、人体のさまざまな部位に含まれる炭素と酸素と窒素の同位体を測定する。「『人は食べたものでつくられる』という言葉どおり」だと、レスター大学のアップルビーは説明する。
考古地磁気年代推定法も重要な手法だ。窯跡や炉跡などの土を調べると、その時点での地磁気の方向が分かる。方向は時代によって変わるので、いつの遺物かを判断できるのだ。残留有機物分析という手法では、古代の土器や洞窟の地面などに付着している脂質のかすかな痕跡を基に、肉でも蜜蝋でもワインでも、当時の食材などを明らかにできる。
途方に暮れるほどの新技術と手法の数々を、難しく感じたとしても無理はない。海洋考古学者と古病理学者も互いの研究を把握しているとは限らない。そんな時には、シンプルだがワクワクする、こんな考え方をしよう。太古の時代はどんどん遠ざかっていくが、考古学者はさまざまな方法を駆使して、その過去をいっそう近くに引き寄せているのだ。

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